#SHIFT

1000万円かけてたった1人採用の企業も 海外エリート大学生を狙え!激変の新卒採用サバイバル(1/3 ページ)

» 2018年11月07日 07時30分 公開
[服部良祐ITmedia]

〜企業も学生も変われるか 新卒採用の最前線を追う〜:

 揺れ動く新卒学生の就活。企業の採用活動時期を定めた「就活ルール」については、経団連が2021年春入社の学生から廃止を表明するなど二転三転が続いている。ただ、現場では既に従来の採用の在り方が変わりつつある。ビジネスモデルの急激な変化や働き方改革で、求められる職場や人材像が変容しているからだ。新卒就活の岐路ともいえるこの時代、試行錯誤する企業や学生を追った。


 大手企業やメガベンチャーが、海外に出向いて新卒採用を積極的に進めている。国内の少子化や人手不足が慢性化しており、優秀な学生を日本市場のみからは採用しきれないと判断したからだ。

 対象は日本での就職に興味のある海外の外国人学生と、現地に留学している日本大学生の両方だ。海外の学生と日本企業をつなぐサービスに人気が集まり、メルカリのように新卒の大半を外国人が占める企業も登場した。国内にいる外国人留学生の採用が進まないなど保守的な会社もまだ多い一方で、国籍を問わず海外の新卒市場に目を向ける企業が増えている。

photo 新卒の半分以上がインド人など外国籍で占めたメルカリの入社説明会(同社提供)

 ヴァイバート・那尚・ウィルソンさん(26)は2018年10月、人材紹介を手掛けるメガベンチャーのレバレジーズ(東京都渋谷区)に入社した。新規事業のマーケティングを担当している。カナダと日本のハーフだが日本育ちの日本国籍で、高校までは埼玉に住んでおり英語も話せなかったという。

 進学時にカナダのアケィディア大学に留学し、ビジネスにおける対人関係を5年間学んでいた。現地ではプロ卓球選手を務めたほか、木こりや料理人など20ほどのアルバイトを経験した。現地では当初はそのままカナダで就職しようと思い、既に数社の現地企業から内定をもらっていた。

 17年11月に米ボストンでディスコが開催した現地留学生向けの巨大合同説明会「ボストンキャリアフォーラム」でレバレジーズの面接を受けた。同社の執行役員、藤本直也さん(27)のプレゼンを聞いて「年も自分とほとんど変わらないのに経験を積んでいると感じた。待遇や社名と関係なく一緒に働きたい」と思い立ち入社を決めた。

photo 海外の大学からレバレジーズに入社したウィルソンさん(左)と欧陽さん

 欧陽雪さん(22)も今秋にレバレジーズに入社した新入社員だ。こちらは中国・浙江省出身の中国籍で、高校卒業後は長春市にある長春理工大学に通った。専攻は日本文化で、3年生の時には岡山大学に留学していた。「競争するのが大好き」と、スピーチや面接コンテストに数多く参加した経験を持つ。

 「クレヨンしんちゃん」など日本のアニメが好きで、もともと日本で働きたいと思っていた。上海で開かれた企業説明会でやはりレバレジーズの藤本さんの話を聞き、「こんなに若いのに成長して昇進できるのは魅力的。この会社ならいろんなことにチャレンジできそう」と入社することにした。今は日本語の研修中で営業を担当する予定だ。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.