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面接で「してはいけない質問」、知っていますか? 「思想・信条・宗教」だけではない、いくつものタブーとは連載・あなたの会社は大丈夫? 求職者に「ブラック企業」と思われないために(3/4 ページ)

» 2020年03月16日 05時00分 公開
[新田龍ITmedia]

経営者と同じレベルの努力を社員に強いようとする →いくら頑張っても、報われない会社だと判断される

 多くの経営者にとっては「自分が好きで始めたビジネス」であるから、寝食を惜しまずハードに仕事をこなすのは当然のことであり、ビジネスの意義や会社組織に対する強烈な思い入れがあるのも当たり前だ。多くの人が口にする「苦しい時期があったから、今の成功がある」という考えにも一理ある。しかし、美しいその成功譚は、あなたと一般社員を隔てるものになりかねない。

 そもそも、リスクを負って事業を興し、その分のリターンを得られる創業メンバーたちと、ある程度組織ができてから参加する一般社員では、価値観も、モチベーションを感じるポイントも、「これくらいやって当たり前というレベル」も違う。経営層はハイリスクでもハイリターンを期待したい「珍しい」存在であり、一方の一般社員はローリターンでもリスクは低減したい「普通」の存在であることがほとんどなのだ。

 資質や能力の優劣ではなく、そもそもの価値観が違う、ということだ。その前提で接して、そこから徐々に期待をかけていくべきであり、面接の時点でいきなり経営者レベルを求めるのは筋違いだ。当然、過大な期待を寄せられる求職者にとっては「ロクに報いもせず、要求だけ厳しいブラック企業」と映るだろう。

面接官や企業側の対応に誠意がない/コンプライアンス違反をしている →顧客に対しても誠意がなく、法順守に無頓着といったルーズな雰囲気を感じ取る

 求職者にとっては面接官が、その会社との基本的に唯一の接点である以上、その態度が会社の“在り方”を体現することになる。印象面のみならず、厚生労働省が発表している「公正な採用選考の基本」などでは、本人の資質とは関係ない条件で採用・選考の差別をすることは禁じられている。あなたの会社では、面接官が次のようなことをしてしまっていないだろうか。

  • 面接官が事前に応募書類(職務経歴書など)を読んでいない
  • 面接官の態度が横柄である
  • 偏見、差別的、モラルを欠いた発言がある

 3つ目の「偏見、差別的、モラルを欠いた発言がある」を詳説すると長くなってしまうのだが、「面接時に質問してはいけないポイント」がある。具体的には「本人の本籍地、出生地、生い立ち等」「家族の職業、勤務先、収入、地位、学歴、人柄、続柄等」「家庭の資産状況、家の所在地や環境等」「思想、信条、宗教、支持政党、尊敬する人物、愛読書(新聞、雑誌等含む)」「障害者差別、性差別、部落差別、外国人差別につながるもの」「本人の容姿、スタイル、服装」「その他面接と明らかに関係ない私的事項」だ。

してはいけない質問とは(出所:ゲッティイメージズ)

 特に「尊敬する人物」や「愛読書」などは何気なく聞いてしまいそうになるが、これらは全て法律などによって、「本人の資質とは関係ない条件で採用・選考の差別をすること」につながる恐れがあることから禁じられている。コンプライアンス上、避けた方が無難である。繰り返しになるが、求職者とのあらゆる接点において、企業側に何かしら誠意が感じられない対応があれば、それは企業そのものの誠意のなさと直結するだろう。重々ご留意頂きたい。

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