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50代で電通を退職した元コピーライターが、ドローンで起業したワケ元電通マン、今ドローンマン(2/3 ページ)

» 2022年01月20日 07時00分 公開
[渡辺まりかITmedia]

 空解が手掛けるドローンは、全長1.5m、全幅2mほど。胴体部分は発泡素材でできていて、約2.5kgと軽いのが特徴だ。

 「保冷力があるため、クーラーボックスを使わなくても鮮度を保ったまま運べる」と発泡素材を使うことのメリットを挙げる森田さん。「そのうえ、軽く、何かに当たっても対象物を破損させることがない。固くて重いものが頭上を飛ぶより、軽くて柔らかいもののほうが、心理的安全性にも好影響。メリットしかない」

photo 専用保冷ボックスで、理論上はワクチンも運搬可能だという

 胴体部分の積載量は最大2.5kgだが「あまり重いものを積むと航続時間が落ちてしまう。1kg程度なら120kmを120分という長距離、長時間で飛ばすことができ、しかも風にも強い。胴体の形状や翼端などはカスタマイズ可能なので、企業ニーズに合ったものを納品できる」という。

 実際に、21年7月17日に行った実験では、千葉県銚子市から茨城県河内町までの利根川上空、距離にして62kmを飛びきった。それでも、積載バッテリーの充電量が半分以上残っていたことから、実用に耐えうることが実証された。

 さらに、岡山県和気町とヤマト運輸の実証実験にも21年12月6日から参加している。山の上の集落など、車でも行きにくいところに住んでいる高齢者へ医療商材や処方薬を届けるという。

 「マルチコプタータイプだと1回20分しか飛べないが、VTOL型ドローンなら2時間飛べて効率的。商用での輸送利用が、ついに視野に入ってきた」(森田さん)

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