試用機の「シルバー」はステンレスの質感が高く、これまでのNikon 1シリーズにはない独特の印象を漂わせている。カラバリとしてはこのシルバーのほか、ブラックが用意されている。フロント「Nikon 1」ロゴの下には細かいローレットのあるグリップがあり、やや大きく、重めのAW1をしっかりとホールドできる作り込みがなされている。側面には別売りのグリップ(GR-N6000)を取り付けるネジが用意されている。こうしたカスタマイズ性は後のシリーズ製品もつなげて欲しいと思う。
これ以外にアウトドア性能で従来機より強化された点は、シンプルな操作でモードを切り替える「アクションボタン」の追加と、GPSの内蔵だ。アクションボタンは撮影モードの切り替えをAW1の傾き角で設定を選べるようにするもので、グローブなどをしていても細かいボタン操作の必要がない。
ただし、「アクション」ボタンからは露出補正や絞り、シャッタースピードなどを調整できず、撮影モードの切り替えのみなので用途として重要かどうかが微妙なところ。そこまでする必要ないと思われるかもしれないが、これまであったダイヤル式のコントローラーがなくなっており、それに対する代替機能なのかと思っていたのだが現時点ではそうではないようだ。ちなみに絞り値などの変更は背面の拡大/縮小ボタンで行う。
そのほかアクションボタンは再生画面での画像の送り操作や、MENUボタンを押した状態では液晶モニターを明るくするアウトドアモードのオン/オフを行うことができる。
GPS機能は、撮影データに緯度経度情報を付加するほか、位置情報を定期的に記録するロガー機能も使用できる。また、高度・水深情報も記録できるためダイビングの情報共有などにも役立つ(ちなみに水深計はあくまで目安であるとのこと)。
撮像素子は有効1425万画素 CXフォーマット(13.2×8.8ミリ)の「スーパーハイスピードAF CMOSセンサー」で、ローパスレス仕様。スペック的にはNikon 1 J3と同じだが、ジャイロセンサー搭載によって水準器表示が可能となっている。三脚使用時の水平出しはもちろんだが、手持ち撮影でも水準器表示はやはり心強い。
付属レンズ「1 NIKKOR AW 11-27.5mm f/3.5-5.6」を組み合わせた状態での画質はやや甘目で、引きの画ではもう少し解像感が欲しいと感じる。解像感や暗部のカラーノイズなどはシリーズ製品のV2やJ3と似た傾向を示す。ピクチャーコントロールの「ビビッド」で撮影した写真のアウトフォーカス部分は、フィルムで撮影したような存在感があってよいと感じた。
オートフォーカスは従来機通り、撮像素子面に位相差AFセンサーを搭載し、コントラストAFも併用するハイブリッド式。屋外など明るいシーンでは位相差AFセンサーによって瞬時にAFが作動し、コンティニアスAFも動く被写体に強い。ただ、暗所ではコントラストAFオンリーとなってしまい、コントラストの検知が苦手なシーンではピンボケを連発することもある。今回は試用期間の関係で試すことができなかったが、水中でのAF性能がやや心配なところでもある。
専用レンズとの組み合わせで水中での静止画・動画撮影が可能となるAW1は、メカシャッターを備えるVシリーズと異なりメカシャッターは非搭載。静止画撮影は電子シャッターオンリーとなるが、メカ動作する部品を非搭載とすることで過酷な環境下でも故障する可能性が減ったと考えれば本機のタフネス、信頼性につながるのではないだろうか。
デジタルカメラの進化が落ち着いたように感じられている時期に登場した防水・耐衝撃性能を持つレンズ交換式カメラという新ジャンル、さまざまな用途に利用できると思われるので今後の動向に注目したい。
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