先週のアクセス1位は、複数のLINEスタンプを組み合わせて送れる「スタンプアレンジ機能」というLINEの新機能の紹介記事だった。
記事を書いたのは筆者なのだが、使い道が分からなすぎた。記事がアクセス1位になるとは心からびっくりだ。筆者がもっと若ければ、ワクワクしながらいろいろな組み合わせを試したのだろうか。自分自身から遊び心が失われている……とショックを受けたランキング結果だった。
9位は、先々週に公表された、iPad ProのCM動画が炎上した件についての解説コラムだった。iPad Proの広い用途をアピールするため、楽器やカメラなどのクリエイティブツールをプレス機で破壊する様子を見せた動画「Crush!」に批判が集中し、Appleが反省を述べた件だ。
記事では、この動画への批判がなぜ日本から巻き起こったのかを解説しているのだが、筆者は当初、炎上が「日本から」起きていることに気付かなかった。動画を紹介したティム・クックCEOの投稿に批判的なリプライが多数ついている様子はリアルタイムで見ていたのだが、そのほとんどが流ちょうな英語だったので、英語圏発だと思い込んでいたのだ。
動画を掲載した当初、海外速報担当の記者から「米国ではそれほど話題になっていないんですよね」といわれて初めて、日本が主な発信地だと気づいた。
少し前までなら、日本発の炎上なら日本語の投稿が集中していたように思うが、今回は違った。発火点であるクックCEOの投稿に対して、日本のユーザーがクックCEOに分かる言語で伝えようとしたため、英語による批判が相次いで投稿された。
それが可能だったのは、自動翻訳・AI翻訳の進化で誰もが“流ちょうな英語”をテキスト投稿できるようになったためだろう。日本からの批判だからといって、日本語で投稿されるとは限らない時代になった。
「リプライゾンビ」問題にも、同じような背景がありそうだ。
リプライゾンビは、日本で話題になっているコンテンツに付く無意味なリプライ。日本語を母語としない海外のユーザーが、AIで自動生成・自動翻訳して投稿しているとみられる。最近は、バズったあらゆるコンテンツに“ゾンビ”が付いてしまっている。これについても“AI翻訳機能のおかげ”といえるだろう。
自動翻訳の進化で、言語が異なる人々の境目が薄くなった。一方で、言語の壁により守られていたラインが浸食され、リプライゾンビなど新たな問題も出てきている。
ネットの普及とAIの進化で、世界中の人がフラットにつながっている。これは過去の歴史にない変化だろう。その変化が吉と出るか凶と出るかは、使う人間次第でもある。
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