時代のキーワード「ILM」を牽引するストレージの巨人

情報ライフサイクル管理(ILM)を牽引するEMCジャパン。同社は、11月2日に「EMC Forum 2004 AUTUMN」を開催する。今年はパートナーとともに、同社の描く実践的なILMソリューションが示される。情報とストレージの管理を考える、またとない機会になるはずだ。

» 2004年10月01日 00時00分 公開
[ITmedia]

 企業内の情報量は年率60%近い速度で増加し続けているという。これら情報はストレージに格納されているわけだが、増え続ける情報とストレージをどのように管理するか、格闘している企業は多い。

 ストレージの管理者が管理できる情報量にも限度があり、情報の増加は、ストレージシステムの購入コストを押し上げる以上に、管理コストとして跳ね返ってきている。実際、管理コストはストレージ自体に費やされるコストの数倍に上っているといった調査も出されているほどだ。

 しかも新たに生成されるデータの8割は、電子メールや表計算データなどデータベース化されていない非構造化データともされ、管理の複雑さも増すいっぽう。e−文書法も来年4月に施行されるとあり、電子保存される文書や帳票はこれまで以上に増えていくことになりそうだ。残念ながら、これまでのやり方でコストを抑えながら管理していくことは、限界が近づいてきたようだ。

 このような中、ストレージベンダーは、この課題に取り組む姿勢を積極的に見せ始めている。「情報ライフサイクル管理」(ILM)である。

「情報ライフサイクル管理」の考え方

 ILM。このコンセプトはいたってシンプルだ。情報に対し時間と価値の2つに注目し、情報が生まれたときから破棄されるまでに価値が変化する、という点を基本的な考えに据えている。

 例えば、銀行の小切手情報の価値の変化を考えてみよう。紙ベースで処理される小切手は、振り出された後に受取人が銀行に預け入れる。すると、エンコード処理されデータとなり、送金処理される時点で小切手の情報価値はピークを迎える。支払いが計上されてしまえば、その情報としての価値は下がってしまう。しかし、顧客調査が必要になった時点で再びその価値を高める。

 このように情報の価値は時々で変化する。情報の価値が低くなれば、高価で高速なハイエンドのストレージに格納したままよりも、一旦、低価格なATAディスクやテープに移動させたほうがストレージにかかるコストは削減される。移り行く価値に応じ、格納するストレージの価格と特性に合わせたものへ、それもシステムが自動的に移動させていけば、管理の面でも都合がいいわけだ。

 またILMは、コストの圧縮だけでなく、必要なときに情報を迅速に引き出せ、情報の価値を最大限に発揮させることにもつながって行く。

ILMを牽引するストレージ業界の巨人、EMC

 このILMを戦略に掲げ、現在リーダーシップをとっているのは、EMCである。同社は昨年8月にILMを企業戦略に据え、いち早くソリューションを整えている。

 コンセプトはシンプルながらも、ILMを実現していくには、ストレージハードウェア/ソフトウェアともに多くのコンポーネントが必要となる。ある意味、ストレージベンダーとしての総合力が試される分野でもある。

 これを物語るのは、昨年EMCが行ったソフトウェア企業の一連の買収だろう。同社はストレージのハードウェアであまりにも有名だが、ILMを実現する上で欠かせないソフトウェア分野を大幅に強化したのだ。バックアップソフトのLEGATO Systemsにはじまり、コンテンツ管理のDocumentum、そして仮想インフラソフトのVMware――とソフトウェア技術を矢継ぎ早に手に入れ、今やストレージ管理ソフト市場でもトップの位置にいる。

 「これらの買収はすべてILM戦略を加速するため」と、米EMCのマーケティング&テクノロジー担当ハワード・エリアス主席副社長は説明する。EMCジャパンの中山隆志社長も今年念頭の挨拶で、一番にこの点に触れた。

 新たなソフトウェアを手に入れたことで、EMCのストレージシステムだけでなく、他ベンダーのハードウェアを含めオープンにILMを推進できる体制となり、まさに総合力を高めたわけだ。

 このILMを牽引するEMCジャパンだが、11月2日に東京国際フォーラムで「EMC Forum 2004 AUTUMN」を開催する。昨年度は「ILMへの挑戦」をテーマにしていたが、今年度は実践のフェーズへとステップアップし、EMCのパートナーとともに同社の描くILMソリューションが示される。情報とストレージの管理を考える、またとない機会になるはずだ。

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