デルのエンタープライズソリューションで実現するスピード経営Dell Enterprise Showcaseレポート(2/2 ページ)

» 2004年12月08日 21時48分 公開
[大河原克行,ITmedia]
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 そして、もう1つの特徴として、IT投資予算の約7割が新規開発投資であるという点が挙げられる。一般には、新規開発投資比率は2〜3割程度といわれ、残りの7〜8割は、既存システムの維持、運用などに使われる。既存投資の維持にこれだけの投資を割いていては、変化が激しいビジネス市場で競争力を維持するのは難しい。デルは、新規開発投資を優先できる仕組みを社内に構築し、競争力を維持していると言っていい。

 浜田社長は、同社の仕組みの1つを、具体的な例を用いて紹介する。同社は月次で経営者レビューを行っており、20〜30人が集まる。そこでは、わずか1〜2時間で今後3か月、半年、1年の戦略的課題が検討され、IT投資の検討も行われる。そして、この投資の稼動までの期間は最大で9カ月と決められているという。システム投資そのものが、短い期間の中で決定され、その投資の回収期間も短く設定されているわけだ。

 しかも、これらを検討する上でベースとなるデータは、財務、人事、営業、マーケティング、サービスなど、あらゆる部門で共有され、IT投資の必要性、投資案件のプライオリティについて議論が行われるという。

 「大きなROIよりも顧客満足度を高めるIT投資の方を優先すべきと判断した場合、定量的な効果よりも定性的な効果を重視して決定することもある。それを、根回しなど時間がかかることはせずに、共有データを基盤にして、共通の認識の上で決定していくことになる」(同氏)

 デルの経営層が持つデータは詳細にわたっている。たとえば、営業担当者が一日に何件見積もりを発行し、クローズしていない案件がどの程度あり、何本電話をし、そのトータルタイムはどの程度かかっているのか、といったデータもある。

 これを「毎日が人間ドックに入っているような経営体質」と浜田社長は表現する。ITとマネジメントが一体となった経営が行われており、これが同社のスピード経営を支えているのである。

 浜田社長は、こうしたデルの取り組みと事業方針の特徴を示しながら、「デルはITマネジメントシステムを、メーカー主導からお客様主導のものへというパラダイムシフトを起こす」と言い切った。浜田社長の講演は、デル自らの成功がユーザー主導の情報システム構築であること、その環境がデルの製品によって実現されていることを印象づけた。

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