第1回 運用業務の効率化に効くITILを深める! サービスサポート編(3/3 ページ)

» 2005年07月04日 00時00分 公開
[インフォリスクマネージ,ITmedia]
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 サービスデスクを導入(構築)する際には、まず、何のために導入するのかを明確にする必要がある。「自社のどの事業のためのサービスデスクなのか? 」「サービスを受ける人たちは誰なのか? 」「予算は確保されているか? 」「サービスデスクに発展させる部署はサービスカルチャが醸成されているか? 」「それをどのように醸成していくか? 」など、現状を認識し進むべき目標が明確になっていなければならない。

 コールセンターやヘルプデスクの組織構造としては、フロントの問い合わせやインシデントを処理するスタッフのみで構成されることもあるが、サービスデスクでは、そのサービス範囲を網羅するために、「フロントスタッフ(一次対応チーム)」と「二次対応チーム」の2つに分かれることが考えられる。決められた手順に従い、フロントスタッフで取り扱いできないインシデントを、技術専門家やユーザー(もしくは顧客)の事情に特化したスタッフで構成する二次対応チームへエスカレーションすることで迅速にサービスを回復させる。

 では、サービスデスクの構築をすべて包括的に一気に導入した方がいいのだろうか? 青本では「段階的アプローチ」という言葉でもって、即効性があり効果的なものから順次導入するように説明している。少なくとも、形はどうであれIT組織は継続的な運用サービスを提供しているので、その連続性を保つためにも段階的にサービスデスクを導入することは重要な意味があるといえる。

 システム運用サービスを提供している当社では、サービスデスク(もしくはそれに類似する機能)はすでに存在したので、ユーザーのインシデントの定量的把握(作業負荷の定量的把握)や、サービス提供工程の可視化を推進している。セルフサービスを実施していくことも、顧客やユーザーの満足とサービスデスクの効率化には欠かせない。すべてをITILのベストプラクティスに依存するのではなく、それに加えた実践が必要となる。

 また、サービスカルチャの醸成に重要なのは、マネジメントのコミットメントとなる。サービスサポート部門をどのような組織に育てていくのか、スタッフとともに議論しながら、より高いサービスマインドをはぐくむことも継続的課題としたいところだ。そのほか、マネジメント層のコミットメントとしては、チームワークをより強固にするための諸施策を講じることや、自身が汗を流し手を汚すことも必要となってくる。スタッフが声をかけやすく話しやすいマネジメントであることを心がけたいものである。

図2 サービスデスク対応力を高めるスキル

 人の成長という観点では、サービスデスクのスタッフのソフトスキル向上も重要だ。サービスを提供する者として、顧客やユーザーとより良い関係をいかに維持するかの技能の基本となるものがソフトスキルである。これはヒューマンスキルとも呼ばれているもので、コミュニケーションスキルや交渉力、説明力、傾聴力などを指している。このソフトスキルを向上させるために特別なトレーニングを行うことも1つの案だが、トレーニングは一時的効果しか発揮しない場合が多く、チーム内にソフトスキルの高いプロフェッショナルを1名置き、スタッフの参考になるようにするような対策をとったほうが効果的なことも多い。

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