エンタープライズグリッド環境の実証に取り組むProject MegaGridにCiscoが参加

Project MegaGridにCisco Systemsが参加し、さらにその活動もフェーズ2に移行した。ネットワークに関しても実証済み環境が用意できることになる。

» 2005年09月22日 09時22分 公開
[渡邉利和,ITmedia]

 9月19日に開幕した「Oracle OpenWorld 2005 San Francisco」で、Project MegaGridにCisco Systemsが参加したことや、プロジェクトの活動がフェーズ2に移行したことが明らかにされている。

 Project MegaGrid(プロジェクト・メガグリッド)は、Dell、EMC、Intel、およびOracleが2004年12月に開始した、エンタープライズグリッド環境の実証プロジェクト。今回のOracle OpenWorldでCiscoが参加したことによって、サーバとストレージに加えてネットワークに関しても実証済み環境が用意できることになる。

 Project MegaGridでは、大規模なエンタープライズグリッド環境を実際に構築してみることでノウハウを蓄積し、問題点の洗い出しを行っている。現在は実験プロジェクトの段階だが、ゆくゆくはこの成果を各社が提供するコンサルティングやサービスのメニューに組み込んで顧客に提供することを想定している。

 フェーズ1では、Dell PowerEdge(Xeonプロセッサ)サーバを最大で66台接続したグリッド環境で、金融系のアプリケーションを1つ動かしておき、スケーラビリティーやパフォーマンスの確認を行った。これに対してフェーズ2では、金融系やBI(ビジネスインテリジェンス)アプリケーション、Webサーチエンジンなど、5種類のアプリケーションを同時に動作させておき、アプリケーションに対してサーバリソースのプロビジョニングを行ったり、あるアプリケーションに割り当てられたサーバをほかのアプリケーション用に割り当て変更したりといった、より具体的なグリッド動作の検証を行っていく予定だ。サーバの接続数も最大100ノードまで拡大されるという。

 プロジェクトの成果はホワイトペーパーなどで公表されるほか、将来的にはプロジェクト参加各社から顧客に提供されることになる。

 日本国内では、RACのスケーラビリティーの実証として、サン・マイクロシステムズとの協業で最大128台のサーバを接続してRACを動作させる実験が行われているため、接続台数の面でのインパクトは薄いが、実アプリケーションを動作させた上での機能検証を行っていたり、ストレージ、サーバ、ネットワークといった主要コンポーネントのベンダーすべてが集まって共同で取り組んでいることから、より実践的なノウハウが集積されることが期待できる。

 RACが登場してから数年が経過し、ようやく具体的なシステム構築を考えられるだけに状況が成熟してきており、実証された確かなノウハウを必要とする顧客が増えていくと考えられるため、こうした取り組みは現実的なソリューション提供のための基盤整備として、重要な意味を持つものと考えられる。

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