BEA、Workshopアップグレードの円滑化を約束BEA World 2005 Santa Clara Report

バイナリ互換性がないWebLogic Workshop 8.1からバージョン9.0.2への移行を容易にするため、BEAはソースアップグレードツールの提供などの手段を考えている。(IDG)

» 2005年09月30日 12時42分 公開
[IDG Japan]
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 現行版と将来版のJava開発環境にバイナリ互換性がないことについて、BEA SystemsはBEA WebLogic Workshop 8.1からWorkshop 9.0.2への移行を円滑にすると約束している。

 コードネームで「Daybreak」と呼ばれるバージョン9.0.2は、来春リリース予定だとBEAの上級プロダクトマーケティングマネジャー、ピエター・ハンフリー氏は9月29日、BEA World 2005で語った。

 「バージョン8.1のアプリケーションは9.0.2とバイナリ互換ではない。標準とJava 5.0 Annotationに足並みをそろえるためにソースコードの構文を変えるからだ。つまり、再コンパイルしなくてはならないということだ」とハンフリー氏。バージョン8.1由来のアプリケーションは、Apache Beehiveのコンポーネントモデルが提供するマルチプラットフォーム互換性といったバージョン9.0.2の機能から恩恵を受けるだろうと同氏は述べた。

 この2つのIDE(統合開発環境)間の移行を容易にするため、BEAはアップグレードが失敗した場合に報告し、やり直す「ハーネス」ツールをアップグレードする計画だ。また同社はソースアップグレードツールにも目を向けている。2つのバージョン間のアップグレードのデモでは、10回ほどマウスをクリックする必要があった。

 強力なアップグレードパスの提供は、今秋から来春にWorkshopのリリースを延期するという決定において大きな要因になったとハンフリー氏。ただしBEAは今秋、BeehiveとWebLogic Serverの統合をサポートするランタイムソフトをリリースする。

 バージョン9.0.2はEclipse 3.1をベースにする。これはJava 5.0、Strutsフレームワーク、JavaServer Faces、Eclipse Web Tools Platformもサポートする。Java Specification Request 181に従って、AnnotationベースのJava Webサービス開発をサポートする点も注目だ。WS-Reliability、WS-SecurityなどのWebサービス仕様もサポートする。

 BEAのWorkshopのプレゼンテーションではパフォーマンス向上の取り組みが披露されたと、BEAWorldに来場したFederal Expressの技術アナリスト、ジェフ・バンクス氏は話す。「同社はパフォーマンスに対処しようとしていると思う。これは今の最大の問題の1つだ」

 また、BEAが新たに買収したM7 NitroXツールは、強力なJavaServer Pages編集機能などをBEAのツールに加えるとハンフリー氏は語った。M7は依存度分析を行うアプリケーションスキャン技術「AppXRay」も有している。BEAはM7の技術をWorkshopに統合する計画だが、それらの技術をWorkshop 9.0.2に盛り込むのかどうかは決めていない。

 「これら技術の統合をどう行うかを100%正確に把握しているわけではない。しかし、Eclipseはわれわれに素晴らしい統合の機会を与えてくれる」とハンフリー氏。M7のツールはEclipseをベースとしており、近いうちにブランド変更されてBEAの名前で登場する。

 またハンフリー氏によると、BEAは今後WorkshopをSIP(Session Initiation Protocol)アプリケーション開発エンジンとして拡張するかもしれない。SIPは、音声、ビデオ、チャットなど双方向の通信セッションを開始する。

 BEA関係者は28日、同社が計画しているユーティリティコンピューティング支援のための「Liquid Infrastructure Architecture」の詳細を説明した。

 このアーキテクチャにはサービスレベルポリシーを設定・監視する「BEA Infrastructure Command Center」、自動的にクラスタのサイズを変更する「Cluster Manager」、「Java Resource Broker」「Bare Metal」が含まれる。Bare Metal技術は、BEAのJRockit Java仮想マシンが、OSからより独立して動作できるようにし、Javaのパフォーマンスを高める。

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