Fedora Projectの理事会議長は未来志向Focus on People(3/3 ページ)

» 2006年05月22日 15時26分 公開
[Bruce-Byfield,japan.linux.com]
SourceForge.JP Magazine
前のページへ 1|2|3       

開発方法の改善

 スペバック氏は、Fedora Projectのテスト水準の引き上げも大きな課題だとしている。Red Hat Networkには品質保証技術者とQAチームがあり、実際、Red Hatは最近この方面の最前線に立つ人材を雇用している。「羨ましくはありません。わたしたちの場合、目的が2つあり、どちらも厳しい仕事ですから」

 1つは「Fedora QAで進行している技術水準を明らかにすることであり、もう1つは、これはこのポジションで絶対的に重要な役目なのですが、強固なFedora QAコミュニティーの構築に向けてFedoraの人々を指導することです。バグを緊急度によって選別するメンバーが必要ですし、ハードウェアとの適合性を確認するメンバーも必要です。また、それに関連してコードを書く必要もあります」。スペバック氏の考えでは、必要なコードの1つはプロジェクトのQAチームにハードウェア構成を報告するツールだという。

 スペバック氏がさらに重要な課題だと考えているのは、Fedora CoreとFedora Extras間の活動を密接に連携させることだ。前者はプロジェクトの主要パッケージリポジトリであり、後者はそれを補足するコミュニティーベースのリポジトリである。スペバック氏は、両者の乖離は言われているほどではなく、むしろ、プロジェクトにとってFedora Extrasは創造の泉になっていると見ている。そして、同氏言うところの「Fedora Extrasの爆発的な指導性」を賞賛している。さらに、Fedora Extrasのパッケージ方針が今ではRed Hatの社内で使われているという事実を挙げ、「Red Hatがすべてを決めコミュニティーは蚊帳の外に置かれていると言われていますが、このように、まったく逆の実例もあるのです」と言う。

 このほか、両リポジトリのビルドシステムを共通化することや、Red Hatの従業員以外がFedora Coreに関与できるような方針を確立したいという。「パッケージの巨大リポジトリにコミュニティーがさわれないというのは好ましいことではありません。コミュニティーの方がずっとよい仕事ができる場合があるからです。この利点を使わない手はありません」

 また、スペバック氏は、来年には、Fedoraディストリビューションの構築方法を大きく替えたいと言う。「Fedoraのパッケージが山ほどあるのに、Linuxディストリビューションを自分で構築したい、GNOMEではなくKDEをデフォルトにしたい、WebサーバとDNSサーバが欲しいと思う人がいます。自分用のFedoraが作れないのです。GNOMEでも自分用のバージョンを作れません」

 スペバック氏はパッケージ管理とバージョンコントロールを統合したツールrPathのrBuilderやConaryなどを引き合いに出したが、Conaryへの切り替えはRed Hatの反発を招く恐れがある。rPathの従業員の多くはかつてRed Hatで指導的立場にいた人たちだからだ。もしFedoraがそれらを採用すれば、それは、メジャーなディストリビューションとしては、この技術を採用した最初のものとなる。

ほかのコミュニティーに学ぶ

 スペバック氏は、Fedoraコミュニティーの外にも目を向け、ほかのFOSSコミュニティーと密接に連携したいと述べ、異なるディストリビューションの代表がパッケージ管理の共通化などといった問題について話し合えたらよいのだがと語った。しかし、「オープンソースには自分たちが一番だという心性があります。だからこそ、さまざまなディストリビューションが存在するのです」

 ほかのコミュニティーから学んだ最大のものは、メンバー同士のかかわり方だという。コミュニティーの活性とリーダーシップをバランスさせる必要があるという重要な点を学んだという。「コミュニティーには最終的な決定を下す権限を持つ人と、その決定について説明するための仕組みが必要です。合意に達するまで待つことは、前進するための最善の方法ではありません。必要なことは、いろいろな意見に耳を傾け決定することです」

Bruce Byfieldは、研修コースの開発者でありインストラクター。コンピュータ・ジャーナリストでもあり、NewsForge、Linux.com、IT Manager's Journalの常連。


関連キーワード

Focus on People | Fedora | コミュニティー | Red Hat


前のページへ 1|2|3       

Copyright © 2010 OSDN Corporation, All Rights Reserved.

注目のテーマ