新人研修プログラムを終えた社員は、その多くが開発系の仕事を希望する。開発の方がイメージが良く、「運用管理」というとその言葉の重さから敬遠されがちだと辻村氏はみている。
「しかし、顧客には運用管理のフェーズで大きなランニングコストが掛かっている。ここを新しい技術で改善できれば、顧客も、そして彼らをサポートするわれわれも幸せになれる。IT Pro道場が視野を広げるきっかけになってくれればいい」と辻村氏。ITエンジニアを目指す若い人たちがシステム構築や運用管理に目を向けてくれることは、シーエーシーにとってビジネス上も重要なことなのだ。
人材育成の現場、特に「3K」のレッテルを貼られているIT業界にはさまざまな課題があるが、辻村氏は、技術力や顧客とコミュニケーション能力を身に付け、顧客に満足感を与えられるエンジニアを目指せるような魅力的な職場に変えていきたいと願っている。
しかし、最近でこそ明るいきざしの見えるIT業界だが、ここ数年は多くのシステムインテグレーターや情報処理会社で厳しい業績が続いた。老舗のシーエーシーも例外ではなく、一時、教育研修予算は抑制せざるを得なかったいう。
「トレーニングメニューそのものが十分とは言えず、依然として一時期のダメージを払拭できていない。この業界は人材がすべてと言っていい。タネをまいて反応を見ながら立て直しをしていきたい」と辻村氏は話す。
取材に同席した経営企画部広報IRグループ長の児玉浩一氏も根本的な問題を提起する。児玉氏も、かつて研修を担当したことがあるという。
「研修関連支出の抑制という問題もあるが、業績が良ければ、きちんと教育投資できるとは限らない。忙しくても教育のための時間を確保できる仕組みがないと、業務の都合より教育を優先するのは難しい」(児玉氏)
新人研修には、それでも投資や手間が掛けられている。辻村氏は、2年目以降の社員に対するトレーニングがさらに手薄になってしまっていると危機感を募らせる。
「手をこまねいて見ているわけにはいかないので、新人研修プログラムによってトレーニングや気づきの機会が与えられた若い世代から、2年目以降もヒューマンスキルや技術を高めていけるよう、レールを敷いていきたい」と辻村氏は話す。
なお、当日、Microsoft Onの出張ワークショップに参加したシーエーシーの新人たちは、アンケートに答えて以下のような言葉を寄せている。
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