オープンソース化によって、Javaに何がもたらされるのだろう? Sunのビジョンには何が描かれているのだろうか。合同来日会見を行ったリッチ・グリーン氏は、Javaの新たな可能性を語った。
既報のように、米Sun Microsystemsのソフトウェア部門、リッチ・グリーン執行副社長は、JavaのGPLライセンスのオープンソース化について重要なものであるとともに「Open JDK」の可能性を強調した。
そして、GPL 2(General Public License 2)によるもっとも大きな恩恵は、“さまざまなLinuxディストリビューションにJDKが含まれること”だという。これまでも有志によるJDK(Java SE Development Kit)パッケージは幾つも存在したが、GPL化によってその広がりはいっそう確かなものへとなっていくだろう。
また、最近のソフトウェア戦略について、Javaに次ぐトピックとして、OpenSolarisのダウンロード数記録、そして開発者を支援するSDP(Sun Developer Program)などを挙げた。
同氏はいったんはSunを去り、米Cassattに移籍していたが、2006年5月にソフトウェア部門のトップへと復職した。このことについては、Sunのイノベーション、そしてオープンソースとの協調などを高く評価したことがその理由だという(関連記事)。
グリーン氏は、GPLバージョン3へも興味を示しているコメントを明らかとした。「Javaは、GPL Version 3への移行も考えている」(グリーン氏)
GPL 3は、Free Software Foundation(FSF)が2006年1月に草案を発表し、2007年に公開予定となっているもの(関連記事)。
1991年6月以来、約15年ぶりに刷新されるGPLは各方面に影響を与えており、今では主要商用ベンダーで幅広く利用されていることが改訂理由の一つだ。GPL違反による幾つかの裁判紛争が業界でニュースとなったが、GPLのソフトウェアを利用することで、特許訴訟に巻き込まれはしないか? との懸念に対し、説明を求める声が多い。GPLは、特に特許権に対しての説明に不備があることを挙げる人も多いのが実情だ。
GPL 3では、現在の規模感に応じた改訂が期待されている。Sunもまた、その動向に注目することは必然だと言えるだろう。
グリーン氏は、現在、オープンソース戦略を先導するチーフ・オープンソース・オフィサーのサイモン・フィプス氏がコミュニティーとのやり取りを担っていると言い、数カ月後にははっきりすると語った。
GPL 2公開によるメリットは、前述のようにLinuxとの相乗効果にあるというが、ほかにもWeb2.0にかかわる開発層にもインパクトを与えられるはずだという。Java SE 6のリリースも相まり、アノテーションによるJavaのWebサービス公開の容易さは、Web2.0をテーマとしている企業で採用が加速する可能性があると語った。
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