Oracleは、Javaアプリケーションサーバを含むミドルウェア製品群「Fusion Middleware」で実現する新機能について、Java EEを始めとするテーマで紹介した。
米国サンフランシスコで5月8〜11日まで開催の「2007 JavaOne」では、スポンサーによるゼネラルセッションが3講演行われた。
開催2日目となった午前のゼネラルセッションでは、OracleのSenior Vice President, Oracle Server Technologies Developmentのトーマス・クライアン氏が講演を行った。テーマは最新のアプリケーションモデルへの対応に関してであり、同社のJavaアプリケーションサーバを含むミドルウェア製品群「Fusion Middleware」での機能紹介となった。Sunによるゼネラルセッションでは、Java EEを含むサーバ側での話題が比較的取り上げられなかったことを補い、エンタープライズ向けのテーマを一括して取り扱う形となった。
クライアン氏はまず、取り組むべき最新のテーマとして「Java EE 5」「SOA and EDA」「Web2.0」「Grid Computing」の4つを挙げた。なお、EDAは“イベントドリブンアーキテクチャ(Event Driven Architecture)”の意味である。
Java EE 5に関しては、ビューの領域での「JSF」「AJAX」、コントローラでの「JSF」、モデルでの「EJB 3」「JPA」が最新トピックとして挙げられ、それぞれを利用して同社のミドルウェア環境でどのようなアプリケーションが構築できるかを、最新の開発ツールのプレビュー版を使って紹介した。ここで使われたツールは、開発コード(だと思われる)でFlixと呼ばれているツールで、同社のJava開発ツールであるJDeveloperの次期バージョン(JDeveloper 11)になると目されるものだ。これを使って、クライアント側の表示にAJAXやFlashを使い、ビューのJSFと組み合わせるといったアプリケーションの構築が可能になることを示した。また、モデルの部分ではEJB 3とJPAによるパーシステンスサービスの実現などが取り上げられた。
Web2.0とのかかわりでは、“Enterprise Mashup(エンタープライズマッシュアップ)”というコンセプトが紹介された。これは同氏によれば「インターネット上のサービスとエンタープライズアプリケーションをマッシュアップする」というものだ。
ここでは、SOAを利用するための“Service Interface”とイベント駆動型のための“Event Interface”の両方を備える“Composite Application(コンポジットアプリケーション)”というアイデアが紹介され、ビジネスプロセスの状況変化といった「ビジネスイベント」を受け取り、対応する機能をSOAインタフェースを通じて実行するアプリケーションの作成が紹介された。
最後に、グリッドコンピューティングに関しては、最新ニュースとして同社がベンチマークテストにおける世界記録を2つ達成したことが紹介されたほか、メモリ上に展開するデータグリッド(In-Memory Data Grid)などのコンセプトも示された。
なお、同社は同日付でプレスリリースを発表しており、今回紹介されたSOA/EDA/Gridに対する対応をエッジコンポーネントの部分で行うのではなく、ミドルウェアのコアの部分で対応することでコンポジットアプリケーションに対応するようにしたことをさして「新世代のミドルウェアアーキテクチャ」としている。
合わせて、JDeveloper 11gプレビュー版の公開やSPRINGに対応した開発キットの提供開始など、JavaOneの場にいくつかの新発表を用意して臨んでいた。前日のゼネラルセッションでJavaFXが発表され、モバイル分野が話題の中心になった感があるが、サーバ側でも新たな取り組みが着々と進展していることが感じられるセッションとなっていた。
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