伝染病も銃器による犯罪も、人間そのものが被害を受ける性質のリスクだ。多くの人間の活動で成り立っている企業にとっても、やはり大きな被害を受ける可能性がある。
こうした人的リスクへの対策としては、いくつかの方法が考えられる。まず考えられるのは、健康管理や防犯教育などを通じて、各従業員がリスクをできるだけ避けられるようにする取り組みだ。
そして、機器の耐障害性と同じく、人的リスクも分散化する方法がある。例えば、オフィスそのものの分散化や在宅勤務などの推進、あるいは権限の一極集中を避ける、といった方法があるだろう。
これは、ある意味で冷徹な方法と考えられるかもしれない。しかし、違った考え方もできるはずだ。優秀な社員を不慮の事態で失うことは、もちろん会社にとって大きな痛手となる。だが、その従業員という大きな犠牲を無駄にしないためにも、会社は堅実に生き残る道を探るべきではないだろうか。
企業の安全も、もはやタダではないのだから。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.