第8回 ケータイ、PHS、それともイー・モバイル?(後編)再考・ワイヤレスネットワーク(1/3 ページ)

モバイルブロードバンドの決定版として登場したイー・モバイル。今回はイー・モバイルの「EM・ONE」を検証し、ビジネスユースの快適さを探ってみた。

» 2007年05月31日 08時00分 公開
[池田冬彦,ITmedia]

連載「再考・ワイヤレスネットワーク」では、本記事を含む以下の記事を掲載しています。

【第1回】わたしがモバイルをしたくない理由

【第2回】なぜ、我が社には無線LANがない?

【第3回】「FONはビジネスに使えない?」の本当とウソ

【第4回】Skype専用携帯電話の「使える度」

【第5回】無線LANの高速化におカネはかからない?

【第6回】夢を先取り!? 移動体インターネットの使える度を検証

【第7回】ケータイ、PHS、それともイー・モバイル?[前編]

【第8回】ケータイ、PHS、それともイー・モバイル?[後編](本記事)


 前回の記事では、ノートPC、および携帯電話を使ったモバイルブロードバンドを取り巻く難しい状況を解説した。要するに、ノートPCならクライアント環境はほぼオフィス環境と同じで、同じネットワークサービスをふんだんに使えるが、オフィス外でアクセスできる環境が充実していないことが問題だ。一方、携帯電話のメールやWebブラウジングを使ったモバイルは、機能面で見ると本格的なビジネスユースはまだ難しい。また、通信速度が低くコストも比較的高いといった具合だ。

 そこで注目されるのがスマートフォン。携帯電話をさらに高機能化し、アドレス帳やスケジューラの利用、メールやWebブラウジングはもちろん、Microsoft Office書類やPDF書類を開いたり、作成したデータをネットワーク経由でアップロードすることもできる。まさに、ビジネスユースをターゲットにしたデバイスだ。ここでは、最新のスマートフォン、イー・モバイルの「EM・ONE」を取り上げ、その実用性を検証していく。

スマートフォンで何ができるか

 スマートフォンの定義はちょっと難しい。昔からPDAに慣れ親しんできた人たちから見れば「PDAに電話機能が付いたもの」と映ることだろう。逆に、携帯電話のインターネット機能を使いこなしてきた人から見れば「メールやWeb、スケジューラやアドレス帳などの機能をさらに拡張した高機能電話」として映るだろう。

 だが、EM・ONEはそのどちらでもない。VGA(800×480ピクセル)という大型液晶画面とQWERTY配列キーボードを備えた、ミニコンピュータなのだ。その最大のポイントは、汎用OSである「Windows Mobile 5」を搭載し、ユーザーが自由にアプリケーションをインストールしたりカスタマイズできる点にある。

 Windows Mobile 5は、小型携帯端末向けのWindows OSのサブセット版だ。Webブラウザ「Internet Explorer」やメールソフト「Pocket Outlook」、「予定表」や「アドレス帳」、「Excel/Word/PowerPoint Mobile」「Windows Media Player」などのWindowsアプリケーションを標準搭載している。

図1 EM・ONEの大きさは14cm(W)×7cm(L)、薄さは約2cmで持ち運びは苦にならない。ワンセグ放送にも対応し、131万画素のデジカメも内蔵する

 また、EM・ONEにはWebブラウザ「Opera for S01SH」、メールソフト「SHメール」、PDF閲覧ができる「Picsel PDF Viewer」や電子書籍閲覧ツールである「ブンコビュアー」、日本語入力環境の「ATOK」などもプリインストールされている。もちろん、Windows Mobile 5に対応するアプリケーションのほかフリーウェア/シェアウェアも自由に追加できる。

図2 「プログラム」フォルダの中にあるプリインストールアプリケーション。これらをタップして起動させる(クリックで拡大)

 Windowsとのデータの同期は、Windows XPの場合は「ActiveSync」、Windows Vistaの場合は「Windows Mobile Device Center」というソフトが必要だ。

 EM・ONEとWindows PCとをUSBケーブル、もしくはBluetoothで接続すると、これらのソフトが自動的に起動し、Microsoft Outlook(Outlook Expressではない)のメールデータ/連絡先/予定表/仕事/メモ、Internet Explorerのブックマークなどを同期する。また、マイドキュメントの画像やビデオ、書類なども同期できる。

 このように、WM5はOutlookユーザーを対象としているので、普段Outlook Expressなどほかのメールソフトを使っている場合、「Sync Express 3」などのシェアウェアを使う必要がある。

図3 Windows Vistaで「Windows Mobile デバイスセンター」を使い、Windows VistaのデータをEM・ONEに同期させる(クリックで拡大)
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