WM5では「マイ ネットワーク」や「ネットワークと共有センター」がなく、サーバのブラウズができない。ファイルエクスプローラから「\\Windows\SharedDocs」という形でパスを指定すれば接続が可能……なはずだ。しかし、筆者のLAN環境ではファイル共有を有効にしているWindows XPやVistaでなぜか認証が通らず、接続できなかった。
この問題は、フリーウェアソフトの「GSFinder+」で解決したが、HSPDAでVPN環境(PPTP)に接続し、共有フォルダにアクセスしようとすると、エラーダイアログが表示されてしまう。
VPN(Virtual Private Network)接続についてはIPSec/PPTPに対応しているが、ものの数分でVPNセッションが強制的に終了してしまう。利用しているVPN対応ルータが問題なのか、WM5の問題なのかは今回の検証では判断できなかったが、このような可能性もあることも念頭に入れておいた方がいいだろう。なお、無線LANで接続する際、筆者の環境において「WPA2モード」では接続できなかった。アクセスポイントを「WPA/WPA2ミックスモード」に変更すると正常に接続できるようになる。
さて、現在EM・ONEを使う上で最も注意したい点は、イー・モバイルはまだ音声通話サービスを開始していないことだ。音声通話が可能になるのは2008年3月以降の予定だ。しかし、EM・ONEで電話ができないわけではない。「Skype for Windows Mobile(β版)」を使えば、世界中のSkypeユーザーと完全無料の通話やチャットができる。これもEM・ONEがマイクを内蔵しているおかげだ。もちろんSkypeIn/Outサービスを使って一般の電話や携帯電話との通話も可能だ。
早速Skypeソフトウェアから発信してみると、相手の声がスピーカーから聞こえてきた。音量を小さめに設定しておけば、本体を携帯電話機のように使って会話できる。HSDPA経由で検証してみたが、音質はなかなか良好。かなり快適に使える。ビデオチャットなどはできないが、EM・ONEを電話として使う有効な手段だろう。
EM・ONEの月額利用料は5980円。完全定額制なのでネットに常時接続しても料金がかさむ心配はない。しかもSkypeを使えば、通話料もまったく掛からない。通信速度も高速だ。社外での情報収集、メール、Skypeなどの用途をメインで考え、できるだけ携帯電話を使わないような方策を考えれば、業務の合理化と経費削減のためのデバイスとして活用できそうだ。
もちろん、Windows Mobile OSの課題は多い。VPNで社内LANに接続して共有リソースにアクセスできれば活用範囲はぐっと広がるだろうが、現状ではLAN接続時の共有フォルダへのアクセスも心もとない。これからのマイクロソフトのモバイルプロダクツに大いに期待したいところだ。
なお、イー・モバイルのサービスエリアは現在も拡大中。現在は関東/東海/関西エリアの都市部のみの提供だが、6月までに国道16号線内のすべて、関西では大阪近郊都市にエリアを広げ、大都市部や政令指定都市に拡大していく予定だ。
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