省電力化に本腰の日立、5年で33万トンのCO2削減プラン

日立製作所は、省電力化技術と製品の開発を強化し、今後5年間で33万トンの二酸化炭素削減を目指す「Harmonious Green」プランを策定した。同プランを推進するサーバおよびストレージ製品も発表された。

» 2007年11月05日 14時52分 公開
[藤村能光,ITmedia]

 日立製作所(日立)は11月5日、省電力化技術と製品の開発を強化し、同社製品において今後5年間で33万トンの二酸化炭素排出量の削減を目指す「Harmonious Green」プランを策定したと発表した。

 経済産業省の調査によると、2006年におけるIT機器の消費電力は日本全体の消費電力の5%を占め、2025年にはその5倍、2050年には12倍になるという。この背景を基に、運用・装置・部品面の3つのレベルでIT機器の消費電力の削減を目指すことが同プランの骨子だ。

image 運用・装置・部品レベルの3分野で省電力化を目指す

 具体的には、日立のサーバ、ストレージ、ネットワーク機器などに消費電力削減の重点分野とロードマップを策定し、製品開発を進める。仮想化や冷却、半導体省電力化といった技術を部品や装置に取り入れ、I消費電力低減化技術の運用、未使用リソースの電源断、システム統合による熱だまりの解消などを視野に入れる。

image 二酸化炭素削減のロードマップ。サーバブレード省電力化モデルのリリースや、ストレージ省電力機能「MAID」はすでに導入されている

 運用レベルの取り組みでは、独自のサーバ仮想化機構「Virtage」を用いて、負荷に応じて論理サーバを集約/分散し、使用していないブレードサーバの電源を切るといったサーバ省電力運用が紹介された。2009年度には、統合システム運用管理製品「JP1」などのミドルウェアやアプリケーションと連携した省電力化を目指す。

image 「50%を切るサーバの全体的な利用効率を上げていきたい」と述べる日立製作所 情報・通信グループ、CSO兼経営戦略室長の北野昌宏氏

 また、記憶媒体の組み合わせや電源装置、冷却などの技術開発により、装置レベルの省電力化を行う。具体的には、アクセスしないHDD群のドライブ回転を停止させ、HDDごとの消費電力を削減するMAID(Massive Array of Idle Disks)技術や、熱交換を効率よく行うヒートシンク技術を開発する。将来、MAID機能の活用でストレージの消費電力を最大40%、ヒートシンクの改良でサーバ内ファンの消費電力を最大80%削減するといった目標が掲げられた。

 また、Harmonious Greenを推進するプロダクトとして、ディスクアレイ装置「Hitachi Tape Modular Storage」と、エコサーバ「HA8000-esシリーズ」の新製品でクアッドコアXeon L5320を搭載した「BS320 esサーバブレード」が発表された。Hitachi Tape Modular Storageは同日、BS320 esサーバブレードは12月17日から発売する。

image BS320 esサーバブレード

 日立は同プランへの取り組みにより、2012年単年で、サーバ部門で2万5000トン、ストレージ部門で8万トン、スイッチ部門で2000トンの二酸化炭素削減を目指す。また、今後5年間でデータセンターの消費電力を最大50%削減する日立のプロジェクト「CoolCenter50」にプランの成果を取り入れるという。

image CoolCenter50への活用で、2012年までにIT機器の分野で40%の省電力化を目指す

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