サン、輸送可能なDC“ブラックボックス”を披露

サン・マイクロシステムズは、輸送用コンテナにデータセンター機能を組み込んだ「Project Blackbox」を披露。システムを1度構築してさまざまな場所に運んで使うことができ、従来のデータセンターに比べて設置スペースが10分の1で済むのが特徴だ。

» 2007年11月12日 13時52分 公開
[藤村能光,ITmedia]

 サン・マイクロシステムズは11月12日、輸送用コンテナにデータセンター機能を組み込んだ「Project Blackbox」(PBB)を日本で披露した。

image プロジェクト・ブラックボックスの外観

 PBBは、ISO標準の輸送用コンテナにサーバやネットワーク基盤機能を詰め込んだ仮想的なデータセンター。コンテナ内には最大250台のサーバ、7Tバイトのメモリ、2Pバイトのストレージを搭載できるほか、最大1万人のユーザーが同時利用できるデスクトップ環境をシンクライアント形式で提供する。

 「一度システムを構築すれば、いつどこにでも移動させることができるモジュラー型を取るため、新たにデータセンターを構築しなくてもよい」(同社システムズ・ビジネス統括本部の馬場寿主幹部長)ことが最大の特徴だ。コンテナの中に分電盤や内部電源、冷却システム、ラック、エアフィルタ、除湿器などの装置を備え、鉄道、船、航空機などの手段で輸送できる。ビルの屋上や地下、被災地、紛争地、砂漠、山中、海上などでの用途が具体例として挙がる。

image プロジェクト・ブラックボックスの内部

 PBBは、約15平方メートルに8本のラック、ラックユニットにして320個分のスペースを持つ。200KW規模のデータセンターを構築する場合は通常120〜130平方メートルの空間が必要となるが、PBBでは設置面積を約8分の1に減らすことができる。また1ラック当たりの電力供給量は従来の6KWと比べ、設置面積当たり4倍以上の25KWとなるなど、高密度でのシステム構築が可能となるのも特徴だ。

image 少ない面積で大きなキャパシティを持つ仮想化データセンターのプラットフォームとしても使用可能という

 「ブレードサーバ『Sun Blade 8000システム』とx64サーバ『Sun Fire X2200』を組み合わせると、700CPUを搭載できる。また『UltraSPARCプロセッサ』を使うと2240コア、スレッド数にして17290を、また『Sun Fire X4500サーバ』では、3Pバイトのストレージ環境を搭載できる。結果として、コンテナ内に4.5TFLOPSというスーパーコンピュータ並みの性能環境を構築できる」(馬場氏)

 そのほか、従来のデータセンターと比べて約40%の冷却コストを削減できるほか、PBBのラックの仕様に合った他社製品を導入することもできる。

 PBBの用途は、データセンター統合などでデータを止めないための代替品として利用できる。またディザスタリカバリやネットワークベースでのデータレプリケーション、限られた期間での暫定的な利用などが用途に挙がる。「3〜5年を見据えたデータセンターを作る場合などに、合理的な投資ができる」(馬場氏)

 PBBには、サーバやディスク、ストレージといったラック搭載機器、冷却チラーと外部配管設備インフラ、発電装置、変圧器、外部電源、冷却水の接続サービスなどは含まないため、これらを他社製品で組み合わせてPBBを構築することも可能。

 米国とロシアではすでに早期購入プログラムを利用してPBBを導入している事例もあるが、「製品としての正式発表は2008年初旬以降」(同社の末次朝彦代表取締役社長)という。「PBB本体は1億円程度、2、3年間に数10台の販売を目指す」(同氏)

image 「新たにデータセンター事業や、インターネットプロバイダー事業を始めたいという企業には食いつきがいい」と末次氏

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