「オラクル第2巻は“進化論”を描く」、遠藤新社長が所信表明SOAと業務アプリケーションに注力

日本オラクル社長に就任した遠藤隆雄氏は、企業のグローバル経営を支える製品群と日本市場に密着したサービスでさらなる成長を目指すという。

» 2008年06月02日 19時34分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 日本オラクルは6月2日、新たに就任した遠藤隆雄社長執行役員兼CEOならびに新宅正明会長の記者会見を開催した。遠藤氏は、SOA(サービス指向アーキテクチャ)とビジネスアプリケーション分野に注力する新方針を表明した。

 「前職の退任から9カ月間、この日を待ちわびていた」――遠藤氏は冒頭、新体制への期待感をこのように話した。

 遠藤氏は、「データベースによって日本社会に貢献してきたこれまでの活動はオラクルにとって“第1巻”に当たり、次の成長に向けた“第2巻”が始まる。データベースに加えて、SOAプラットフォームとビジネスアプリケーションに注力する」と話し、新体制の方向性を明らかにした。

所信表明をした新社長の遠藤氏(右)と新会長の新宅氏

 これらの分野にフォーカスする理由について、遠藤氏は「業務プロセスのデザインと再構築」という企業の経営課題を挙げた。「オラクルはこの2つの課題に対する解決策を提示していく」(同氏)といい、具合的にはグローバル標準に基づく広範なソリューション展開と日本市場に密着したローカリゼーションでアプローチする。

 「BEAやPeopleSoftなどの買収を通じ、オラクルはERPやCRMなどグローバル水準から見ても素晴らしい製品群を持つようになった。SOAのプラットフォームでこれらのソリューションを提供することにより、企業に“変革のきっかけ”を提示できるだろう」(遠藤氏)

 さらに、「グローバル水準のソリューションをコンサルティングやサービスパートナーと一体となって日本企業へ提供し、長期的に変革を支援する。グローバル水準の製品と地域に密着した統合的な支援によって、顧客とともに成功や感動を共有していきたい」(遠藤氏)と、意気込みを話した。

「描けるデザインは書き尽くした」

 新宅氏は、遠藤氏選出について「新しい10年のグランドデザインを描けるリーダー」と評し、遠藤氏が持つサービスや業務プロセス変革における豊富な経験に注目したことを明らかにした。

 新宅氏は社長在任時代を振り返り、「データベースビジネスの拡大から始まり、近年は買収・合併戦略のシナリオメイクにも携わってきたが、一つひとつ積み上げていくことに限界が見えてきた。もはやオラクルは社会に大きな影響を与える企業になり、次のリーダーには鳥瞰した視点と実行力を持ってグランドデザインを描ける人物を求めた」と話した。

 遠藤氏に対して、新宅氏は「存分にやってほしいと話している」といい、遠藤氏の新体制を全面的に信頼しているという。

 今後の組織運営について、遠藤氏はこれまでにOracleが買収・統合したリソースの一体化をさらに推進する。「今朝(会見当日)も全社レベルのミーティングを開き、日本BEAのメンバーが参加するなど、オラクルとしての一体感は確実に高まっている」(同氏)。新宅氏も「(買収したオラクルに対する不安など)彼らが抱えている感情的なものも払しょくされている」としている。製品戦略については、「グローバルと一体になってやることなので、本社との連携をこれまで以上に密にしていく」(遠藤氏)と話した。

 遠藤氏は、1954年1月19日生まれ、東京大学工学部卒業。1977年に日本IBMに入社し、社長補佐や営業計画管理担当などを経て2001年に取締役に就任。インダストリアル・サービスやBTO事業などを担当し、2007年8月に同社を退職。趣味は囲碁。

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