数千台ものスマートフォン運用事例も――インテリシンクがモバイル管理ツールの新製品WILLCOM D4にも対応予定

インテリシンクは、電子メール機能を強化したモバイル機器管理/データ同期製品の最新版を発表した。

» 2008年07月02日 20時47分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 インテリシンクは7月2日、企業向けモバイル機器管理/データ同期システムの最新版となる「Intellisync Mobile Suite(IMS) 9」を発表した。電子メール機能の強化やUMPC(Ultra Mobile PC)への対応が特徴となっている。

 IMS 9は、従来から提供するMicrosoft ExchangeやIBM Lotus Notes、サイボウズなどの企業メールを端末へ自動配信する機能が強化され、新たにGmailおよびYahoo!メールを配信できるようにした。クライアントソフトには、これらのメールアドレスを振り分けて管理できる「マルチメールボックス」機能を追加した。

企業アドレスの電子メールやIMAP4対応のWebメールを利用できる

 対応端末では、NTTドコモやKDDI、ソフトバンクモバイルの携帯電話夏モデルやスマートフォン端末5機種で新たに利用できるようになった。さらにUMPCでも利用できるようにし、携帯電話やスマートフォンと同様に企業メールの端末への自動配信、スケジュール連携、ファイルデータの同期、業務アプリケーション連携が可能になった。対応端末はASUSのEee PCなどで、ウィルコムが7月11日に発売する「WILLCOM D4」にも対応する予定だという。

UMPC上でのIMS 9のクライアント画面

 このほか、Symbian OS端末用のクライアントソフトを一新し、最新版ではSymbianの推奨開発環境であるC++ベースで開発。動作の高速化やメモリ消費量の削減、低消費電力化を図るとともに、プロトコルの最適化などでパケットサイズなどを軽量化できる「ファストプッシュ」技術を採用した。これにより、VoIPアプリケーションなど複数のアプリケーションを実行させても、動作パフォーマンスが向上するという。同技術はWindows Mobile端末向けソフトにも展開する。

Symbian端末向けのクライアント画面

 機能強化では、OpenLDAPおよび強化版LDAPとの認証連携に対応したほか、データ同期時などの暗号化強度をAES 256ビットも利用できるようにした。資産管理機能では、UMPC対応に合わせて管理項目を細分化した。

スマートフォンの1000台規模での運用が増加

 5月に新社長に就任した井手龍彦氏は、「スマートフォン対応を始めた2年半が経つが、企業の大規模運用がいよいよ本格化しつつある」と話した。同氏によれば、2008年第1半期(1〜3月)のクライアントライセンス出荷数は2007年通期の実績を上回り、2008年通期は2倍強の出荷を見込む。

 「1000台規模で運用する事例が珍しくなくなった」(井手氏)といい、最近では生活共同組合が首都圏地域での配送業務用途にウィルコムの「W-ZERO3」を3500台導入した。全端末の状態管理やセキュリティ対策にIMSで行っている。テクニカルセールスマネジャーの高久哲良氏は、「IMSを仮想化環境や冗長化構成で運用する企業も多く、基幹システムの1つとしてモバイル端末の管理に取り組む企業が増えた」と話した。

スマートフォンの累計出荷が280万台になると独自に予想

 既存ユーザーの多くは端末管理や企業メールの配信機能を利用しているが、井出氏は今後、ファイルデータのリアルタイムな共有や業務アプリケーション連携の利用が進むと予想。「すでに国内企業の9割が利用するグループウェア製品群をサポートしており、次は基幹業務でのスマートフォン利用が増えるだろう」(同氏)。2010年には国内の全スマートフォンユーザーの50%が企業になると独自に予想する。

 今後の展開について、井手氏はスマートフォン端末の対応拡大やエコシステムの強化、クライアント環境のパフォーマンス向上を図るとしている。

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