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DWHにイノベーションが続々、企業の欠かせない差異化要素にTeradata PARTNERS 2008 Report(2/2 ページ)

» 2008年10月21日 10時00分 公開
[栗原潔(テックバイザージェイピー),ITmedia]
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ITmedia 初日のジェネラルセッションでは、データウェアハウスの世界で期待される4つのイノベーションとして、「センサー・テクノロジー」「パーベイシブBI」「イン・データベース・プロセッシング」、そして「非定型データ」のサポートを挙げていました。もう少し説明してもらえますか。

ブロブスト この機会に、ぜひ、イン・データベース・プロセッシングについてお話ししたいと思います。ほかの項目と比較してあまり語られることはないですが、顧客の現場にとって極めて重要なイノベーションであると考えています。

SASの分析もDWH内で高速処理

ITmedia パフォーマンスの飛躍的向上が得られるということですね。

ブロブスト まさにその通りです。われわれとSAS Instituteは、昨年のPARTNERSにおいてイン・データベース・プロセッシングに関する提携を発表しました。これは革新的なものです。

 従来であれば、Teradataデータウェアハウス内のデータをSASで分析するためには、いったんデータをSASのデータセットに複製してから分析処理を行う必要がありました。分析よりもデータの抽出に多くの時間がかかってしまうこともあり得ます。

 イン・データベース・プロセッシングでは、Teradataデータウェアハウス内でSASの分析処理を行うことが可能になり、分析のサイクルタイムを大幅に短縮できます。1日がかりのプロセスを数分に短縮できることもあるでしょう。これは、製品アーキテクチャーの変更を伴うため、容易な開発作業ではありませんが、得られるメリットも大きいと言えます。これは、Teradataの大きな差別化要素となるでしょう。

ライバルとも協業?

ITmedia 今回はSAS以外の製品についてもイン・データベース・プロセッシング機能が提供されるのでしょうか。

ブロブスト 現在、多くのBIベンダー、そして、データ管理製品のベンダーと交渉中です。その中にはTeradataの競合と考えられているベンダーも含まれています。まもなく正式発表ができるでしょう。

ITmedia そのほかのデータウェアハウスの動向について教えてください。分析データのリアルタイム性についてはどうでしょうか? この点は昨年のPARTNERSにおいて重要項目として挙げられていたと思いますが。

ブロブスト データウェアハウス内のデータのリアルタイム性は継続的に向上しています。データウェアハウスのデータは夜間バッチでロードした静的なデータで十分という認識はもはや過去のものになりつつあります。流通業界などでは定常的なロード、いわゆる「トリックルロード」を行っているユーザーもいますが、まだ割合としては少ないでしょう。バッチロードを日中に複数回行うという「ミニバッチ方式」が一般的になっていますが、この点では日本の顧客はやや保守的かもしれません。

ITmedia イベント駆動型処理についてはどうでしょうか?

ブロブスト リアルタイムの先にあるのがイベント駆動処理です。イベント駆動処理の考え方を取り入れることで、何か重要な事象が発生したときに自動的に適切な対応を行うことができるようになります。これは顧客のビジネスに大きな差別化要素を提供します。

 現時点では、DBMSのトリガーを使った純然たる「プッシュ型」のイベント駆動処理はあまり多くありません。一定時間ごとにデータウェアハウスを検索する、つまり、「プル型」で実質的にイベント駆動処理を行っているケースの方が多いとみています。いずれにせよ、イノベーションに完成はありません。この領域に限らず、まだまだ多くのイノベーションが期待できるでしょう。

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