仕事の遅延をなくす「ゴールからの問い掛け」ビジネスマンの不死身力(1/2 ページ)

第1四半期が終わる6月、当初決めた計画はスムーズに進んでいるだろうか。遅延が生じている時は、スケジュールの立て方や進ちょくの確認にひと工夫加えてみよう。

» 2009年06月27日 08時00分 公開
[竹内義晴,ITmedia]

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 6月は第1四半期が終わる時期である。4月に決めた計画はスケジュール通りに進んでいるだろうか。スケジュールが思い通りに進まない時は、スケジュールを立てる際の認識や進ちょくの確認にひと工夫加えてみることをお勧めする。

 例えばプロジェクトを担当する場合、多くのメンバーはプロジェクトがスケジュール通りに進むことを望んでいるだろう。予定通りに進めばメンバーに余裕が生まれ、モチベーションも上がり、充実感が生まれる。プロジェクトリーダーにとっても、チームをうまくコントロールしている証拠にもなり、周囲からの評価も上がるはずだ。認められれば気持ちもいい。

 だが、現実はそう甘くはない。予定通りにスケジュールが進行しないと、リーダーはメンバーにハッパをかけたくなる。残業が毎日続くようになれば、メンバーは疲弊し、モチベーションが落ちてしまう。そればかりか、困っている仲間がいても助けられなくなってしまうかもしれない。複数のチームで担当するプロジェクトなら、1つのチームの遅れが開発の足並みを乱し、全体のスケジュールにも影響が及ぶ。急いで間に合わそうとして品質が落ちたり、全体の遅れがコストに跳ね返ってきたりすることもある。日々のプレッシャーやストレスに胃を痛めている人も少なくないだろう。

 こうした問題を解決するマネジメントの手法はたくさんある。例えば、「PMBOK」(Project Management Body of Knowledge)と呼ぶフレームワークは、プロジェクトの目的や範囲、時間、コスト、品質、人的資源、コミュニケーション、リスクなどの知識を体系化したものだ。これらの要素を加味したマネジメントを行うことは大切だ。PMBOKをチームに導入すれば、チームにまとまりができ、スケジュールの遅延も起こらなくなるだろう……と多くのマネジャーは考える。

 だが、ここでも想定通りに物事が進むとは限らない。「PMP(Project Management Professional:PMBOKに準拠した国際的な認定制度)」の資格を持っている知人を知っているが、彼ら自身がプロジェクトの運営に悩んでいる。

 プロジェクトの進行に必要な知識を体系的に身につけることは大切だが、いくら知識があっても、実際にチームを率いていくのは人だ。フレームワーク以上に大切なことは、メンバーと円滑にコミュニケーションを取ることなのである。では、スケジュール通りに仕事を進めるためには、どのようなコミュニケーションが望まれるのだろうか。

仕事は遅れるものである

 仕事にはトラブルがつきもので、一般的には予定通りに進まないものである。避けられないトラブルを吸収できるようにするには、日程やスケジュールに余裕を持たせておく必要がある。「それは仕事の前提で、そんな余裕があったら最初から余裕を取っている」と言いたい気持ちもよく分かるが、今一度余裕を確保することの重要性を確認しておこう。

 こんな場面を想像してほしい。あなたは空港に友人を迎えに行こうとしている。普段なら、空港までは車で20分ほどの距離だ。あなたは何分前に出発するだろうか。10分くらいの余裕をみて、30分前ぐらいに出発する人が多いはずだ。

 では、あなたの会社にとって大切な顧客を迎えに行くとしたらどうだろう。友人と同じ30分前に出発するだろうか。途中で渋滞に巻き込まれるかもしれない。友人ならば「遅れてごめんね」で済むが、顧客の場合はそうはいかない。大切な顧客なら1時間前、もっと早く出発するかもしれない。

 この例で分かるように、時間に余裕を持つ(サバを読む)のは責任感の表れといえる。だが、これが仕事になると、時間に余裕を持つのが悪いことのように思えてしまう。だが、相手のことを考えた上で余裕を取るのは、悪いことではないという認識を持ってみよう。

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