コラム
» 2009年09月02日 17時52分 UPDATE

Next Wave:同床異夢で終わらせない「クラウド検証ラボ」含めた業務提携

9月1日、ブロケードとネットワンシステムズがデータセンターおよびサービスプロバイダー市場を中心とする包括的な戦略的業務提携で合意したことを発表した。この提携の背景にあるのは、クラウド市場の急速な進展に伴うサービス品質の確保というテーマだ。

[大西高弘,ITmedia]

市場の要求に沿った業務提携

 今回の提携で、ネットワンシステムズ(ネットワン)はLANからSANまでの全ブロケード製品の取り扱いが可能となり、ブロケード製品を核にしたネットワークの設計から構築、保守、運用、サポート、技術者育成に至る包括的なネットワークソリューションの提供ができるようになる。ブロケード コミュニケーション システムズ(ブロケード)は、国内外で実績のあるネットワンのチャネルを使って、同社のパートナーも含めた販売力を活用することができるようになる。

 提携合意発表の席上、ブロケードの代表取締役社長を務める青葉雅和氏は「ネットワンは世界でも有数のネットワークインテグレーター。幅広く提携していきたい。ネットワンは900人以上のネットワーク技術者を抱えており、本当の意味でのネットワークソリューションを提供していく強力なエネブラー(本当に必要なものを提供できる立場の人)だ」と語った。

 また、米ブロケードのマイケル・クレイコーCEOは、「ブロケードの世界戦略において、日本は極めて重要な市場。そうした意味において、ネットワンとのパートナー戦略は大きな意味を持つ。ネットワンはリセラー、インテグレーター、そしてマーケットリーダーとして確固たる地位を築いており、日本の主要顧客層にとって大きな影響力を持つ。今回合意したパートナーシップで、品質に対して非常に高いレベルを求める日本の顧客層にさらに深くリーチしていくことは、当社にとって計り知れない貴重な経験をもたらすだろう」と語った。

 さらにブロケード製品は、今後、ネットワンが長年培ってきたサービス網の中で、ユーザーサポートが提供されるようになり、長期的な販売力の伸長も期待できる。

brocadentone1.jpg 左からブロケード 青葉雅和氏、米ブロケード マイケル・クレイコー氏、ネットワンシステムズ 吉野孝行氏

 一方ネットワンにとって今回の提携は、自社の成長戦略に欠かせないSAN市場への進出拡大を大きく前進させる。これに関してネットワンの代表取締役社長を務める吉野孝行氏は、今後加速するIPトラフィックの増大を引き合いに出し、SAN市場への期待について次のように語った。

 「今回の提携は、双方の強みを生かした提携であると同時に、市場の要求に沿ったものであるといえる。IPトラフィックの増大は、ストレージ市場の拡大を意味する。ネットワンは直接顧客にソリューションを販売するチャネルとは別に、グループ会社のネットワンパートナーズを通じて、パートナー企業と協力してソリューションを提供するチャネルを持っている。ブロケードとの提携は、これらの複合的なチャネルを利用したIP、SAN双方の市場での販売実績に好影響をもたらすだろう」とし、今後3年で300億〜350億円の売り上げ増を期待していることを明らかにした。

包括的な検証環境を共同で構築

 今回の提携で最も強調されたのは、「Virtual Cloud Lab.」というクラウドコンピューティング環境の検証ラボの構築だ。このラボは2009年中にはブロケードとネットワンのそれぞれのラボをネットワーク上に接続して完成するという。

 ブロケードの青葉社長は、「クラウド環境を単一のベンダー製品で構築している顧客はほとんどいない。マルチベンダーで構築するケースが圧倒的だ。そうした顧客の環境に対して何が必要かというと、あらゆる製品構成を想定して、期待される本来のパフォーマンスを提供する力だ。その上で、クラウドシステム構築における業界標準を確立する。Virtual Cloud Lab.はその実現に大きく貢献するはずだ」と語った。

 ネットワンの吉野社長は、「当社は単独で300本のラックと5000台の機材を投入して、マルチベンダー環境のIPネットワークおよびイーサネットの評価システムを構築している。Virtual Cloud Lab.は当社の評価システムとサンノゼにあるブロケードのマルチベンダー環境で構築されたサーバ、ストレージのラボを接続して構築する。今年の秋から相互接続検証、仮想化動作確認などを行い、最終的にはクラウドコンピューティング環境を顧客の要望に応じて、実機で動作確認できるものにする。IPネットワーク、サーバ、ストレージを含めたクラウド環境の検証ラボというのは、世界でも類を見ないものだ」と話す。

 ブロケードの青葉社長は、自社の戦略発表会見などでも、「サーバ、ストレージ、ネットワークが1つのコンポーネントとして動き、他のアプリケーションとうまく連携しているかどうかを検証しなくては、技術的な標準は確立できない」と語っている。ストレージ分野を中心としたOEM供給でさまざまな有力ベンダーとの豊富な提携関係を持つ同社と、ネットワークソリューションにおける技術検証ノウハウを持つネットワンは、直接的な事業拡大戦略にとどまらない提携関係を構築したといえるだろう。

 クラウド環境の構築および活用は、多くの企業が関心を寄せている。今後、焦点となるのは、各クラウドシステムの品質だ。クラウドシステムの基礎部分を構成するサーバ、ストレージ、ネットワークの動作検証は、活用時のパフォーマンスに大きく影響する。ITコストの削減をクラウドシステムに期待するユーザー企業にとって、パフォーマンスの低下や稼働後のシステム改修、変更は大きな不安要素だ。こうした不安を取り除くことができるソリューションベンダーが、クラウド市場での勝ち組として名乗りを上げることができる。

 そうした意味で、今回のブロケードとネットワンの提携は、同床異夢となりがちな業務提携とは一線を画すものといえるのではないだろうか。

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