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» 2009年12月11日 08時00分 UPDATE

エコシステム・マーケティングの威力:マーケティング連合軍を形成せよ (1/2)

企業と消費者の直接的なつながりに着目し、他企業と手を組むことで強みを発揮するエコシステム・マーケティング。この革新的なマーケティングを実現する2つの戦略を、日本コカ・コーラの取り組みを例に紹介する。

[本荘修二,ITmedia]

 エコシステム・マーケティングは、1つの企業がほかの企業や消費者などとつながった大きな生態系を作り、マーケティング活動を展開する手法だ。このコンセプトの可能性について、3回にわたり議論する。

連載:エコシステム・マーケティングの威力

第1回:神頼みマーケティングからの脱却


エコシステム戦略が変える競争優位

 1990年代にMicrosoftやCisco SystemsといったIT企業を中心に、関連する企業やユーザー群などの連合が形成されていった。このつながりは「ウィンドウズ・エコシステム」や「インターネット・エコシステム」と呼ばれた。このころから、ビジネスの世界でエコシステム(生態系)という言葉が広がっていった。

 2000年代後半に入ると、マーケティングの分野でもエコシステムという言葉を使う人が増えてきた。しかし、決定版といえるような定義はまだ確立しておらず、漠然とした意味で用いられることが多い。

 エコシステム・マーケティングにおけるエコシステムとは、市場全体を1つの大きな生態系ととらえた場合、その中にある企業同士、企業と消費者、そして消費者同士のつながりを指す。それらは単独ではなく、つながり合うことで関係性を作り出す。このつながりを大きな観点から包括的にとらえることが、エコシステム・マーケティングの前提となる。

 エコシステム戦略では、1社が単独ではなく、ある種の連合軍を作って競争優位を構築していく。競争の舞台は、企業間から企業ネットワーク間に変わり、他社との複雑な共生関係を維持していくことが求められる。インターネット化の進展がコミュニケーションのコストを劇的に下げたことで、企業や消費者が直接かつ簡単につながるようになった。これもエコシステム・マーケティングを実践する追い風になっている。

エコシステム・マーケティングにおける2つの戦略

 エコシステムは、企業と消費者、あるいは消費者同士がつながる「コンシューマー・エコシステム」、そして企業が他社とつながる「パートナー・エコシステム」という2つの視点で考えることができる。

コンシューマー・エコシステム戦略

 コンシューマー・エコシステムは、消費者全体とそれを取り巻く企業やメディアの関係性を指す。ここでは、企業と消費者がつながるだけでなく、個人と個人もつながることで影響を及ぼしあう。自社の顧客はコンシューマー・エコシステムの一部に過ぎず、既存顧客だけ見ていても全体は見えてこない。競合企業の顧客や潜在顧客を含めて考えることが大切になってくる。

 つながり方にも注目しておきたい。多くの消費者はテレビCMや屋外広告、報道、口コミなどで自社の情報を受け取っている。一部の消費者とは製品やサービスの利用、メールマガジンダイレクトメールなどを通じて直接つながっている。これは競合他社も同じである。競合が自社の顧客や消費者全体とどのようなつながりを持っているかも、コンシューマー・エコシステムには相対的に影響してくる。

 コンシューマー・エコシステム戦略について大切な視点には以下の4つがある。

  1. 「つながり」重視のインターネット活用
  2. IMC(Integrated Marketing Communication:統合的マーケティングコミュニケーション)型のコミュニケーション
  3. 対話型コミュニケーションで共感を醸成
  4. 新たな関係性構築によるエンゲージメントの醸成

 例えば、日本コカ・コーラが運営する「コカ・コーラ パーク」はPCや携帯電話を通して750万の会員とつながっており、会員が参加できるさまざまな企画やコンテンツを提供している。こうしたコミュニケーションにより、消費者と直接の関係を作ることができ、消費者のエンゲージメント(商品やブランドに対する積極的な関与や行動)を高められる。

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