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» 2009年12月18日 18時35分 UPDATE

国立高等専門学校機構とマイクロソフト、日本初の包括的な協力協定を締結

国立高等専門学校機構とマイクロソフトは、包括的な協力協定「Microsoft Education Alliance Agreement」を締結。国立高等専門学校機構は6万人規模の包括ライセンス契約をはじめ、学習環境と情報基盤をMicrosoftの協力の下で進める。

[西尾泰三,ITmedia]

 独立行政法人国立高等専門学校機構とマイクロソフトは12月18日、公的な教育機関との包括的な協力協定「Microsoft Education Alliance Agreement」を締結したことを明らかにした。同協定は、海外ではアイルランドやメキシコといった国単位のほか、大学などでの締結実績はあるが、日本ではこれが初となる。これにより、国立高等専門学校機構が設置する国立高専の全教職員と高専生の約6万人、さらに約30万人とされる卒業生まで網羅する学習環境と情報基盤がMicrosoftの協力の下進められることになる。

柱は「教育環境の整備」と「共同教育」

tnfigms2.jpg 今回発表された協力内容

 Microsoft Education Alliance Agreementに基づく両者の協力関係は多岐にわたるが、大別すると「教育環境の整備」と「共同教育」に分類できる。前者は、包括ライセンス契約や学生支援プログラムである「DreamSpark」によって、学内および自習用にMicrosoft製品を利用してもらうことが主目的となる。提供されるMicrosoft製品は、Windows 7を含むOS群、Microsoft Officeのほか、DreamSparkで提供されているソフトウェア開発製品などで、現時点ではWindows Azure Platformは含まれない。

 Microsoftの最新の技術/製品群の提供だけでなく、プログラミングや情報教育の授業で教員が活用できる「カリキュラムセット」がマイクロソフトから提供されるほか、MCP(マイクロソフト認定プロフェッショナル)、MCA(マイクロソフト認定アソシエイト)、MCAS(マイクロソフト認定アプリケーションスペシャリスト)、MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)といったMicrosoft認定資格取得を支援する「マイクロソフト IT Academy プログラム」も用意される。つまり、ソフトウェアから教材、資格試験と網羅的に提供することで、Microsoftの技術に深くひも付いた人材の育成を国立高等専門学校機構は中期目標としてとらえているということだ。

 さらに、教育機関向けに無償で提供しているコミュニケーションサービス「Microsoft Live@Edu Outlook Live」によって、メールやメッセンジャー、ブログなどWindows Liveの各種サービスを各高専のドメイン名で利用可能とし、高専卒業生を中心に継続的に連携できるコミュニケーション基盤を整備する。

 一方、共同教育については、国立高等専門学校機構が昨年からマイクロソフトと展開している教育プログラム「ITリーダー育成キャンプ」を強化する。同キャンプは、高専生を対象に、実践的な技術およびコミュニケーションスキル、チームマネジメント能力などを中心としたスキルを習得するための場で、短期の合宿形式で行われる。記者の知る限り、昨年の同キャンプを経験した学生はその後、プロコンなどでプロジェクトを率いており、より実践的なスキルを習得している。

 また、Microsoft主催の国際的な技術コンテストである「Imagine Cup」への参加や、企業へのインターンシップも共同教育の場として想定されている。Imagine Cup 2009では、組み込み部門の日本代表の座は東京高等専門学校が手にしたし、ソフトウェアデザイン部門でも弓削商船高専の健闘が目立った。今回の取り組みにより、来年度以降のImagine Cupでは高専生の進出が促進されるとみられる。

 今回の協力関係に基づく教育環境の整備は現在進められているところで、来年度から本格稼働する予定となっている。また、共同教育などを単位として認めるかどうかは、各高専の判断にゆだねる姿勢だ。

数年来の関係が結実

 過去数年にわたって、国立高等専門学校機構とマイクロソフトは緊密な協力関係を維持し、実績を上げてきた。2007年10月から連携して実施している「高度IT人材の育成支援」はさまざまな取り組み――例えばキャラバンカーで最新のIT技術を高専に伝えて回った「全国高専キャラバン」など――が継続して行われてきた。今回の発表は、人材育成に対するマイクロソフトの実績、熱意を高く評価している国立高等専門学校機構が、教育の根幹部分にまで踏み込んだ協力関係をともに築いていこうとするものだ。今回の包括的協力は1年という期限が設けられているが、これが継続することは想像に難くない。

 今回の取り組みで、マイクロソフトもまた、全国の高専生を対象にできるスケールメリットを意識している。Microsoftのワールドワイドエデュケーション担当バイスプレジデントのアンソニー・サルシト氏は、Microsoft Education Alliance Agreementについて「むやみに(契約数を)増やすつもりはない。数は限定して、誠実にコミットしていきたい。日本は教育に対するコミットが強力。われわれはそこに付加価値を付け加えることができると考えている」と話す。包括ライセンス契約の金額などについては明らかにされなかったが、サルシト氏の口ぶりからは、かなり大胆な値引きも辞さない様子が見て取れた。

tnfigms1.jpg 写真左から、国立高等専門学校機構の木谷雅人理事、林勇二郎理事長、Microsoftワールドワイドエデュケーション担当バイスプレジデントのアンソニー・サルシト氏、マイクロソフト執行役常務パブリックセクター担当の大井川和彦氏

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