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» 2009年12月24日 08時00分 UPDATE

世界で勝つ 強い日本企業のつくり方:グローバルクラウドに潜む法的課題 (1/3)

テクノロジーの進化がクラウドを普及させた。それに伴い、世界規模で越境する情報をどう管理するか、集積した情報を誰がどう利用するかといった論点が浮上している。クラウド型サービスの活用で課題となる法的・政策的課題を考える。

[水越尚子,ITmedia]

 クラウドコンピューティングの台頭に伴い、新たな課題が明らかになってきた。大規模なデータを雲の上(データセンター)に集積する際に、複数の国の法律が適用される可能性があるということだ。クラウド型サービスを活用する企業や国は、従来のデータ管理とは異なる法的、政策的な課題に加え、ベンダーとの契約形態、法令順守のための監査、裁判対応にもこれまでと異なる考慮が必要になる。

 本連載では、クラウド型サービスを適切に利用するための対処法や合意点を、サービスプロバイダー、周辺事業を手掛ける企業、ユーザー企業の各視点で考えていく。

クラウド型サービスの特徴

 運用、管理業務を含むクラウド型サービスを提供する企業(クラウドサービスプロバイダー)は、米国を中心に勢力を伸ばしている。先行するのは米Google(Google Apps)、米Amazon(Amazon EC2/S3)、米Salesforce.com(Force.com)、米Microsoft(Windows Azure Platform)などのプレイヤーだ。各企業は、大量な低価格のハードウェア、高性能なネットワーク、インターネットの標準技術、分散処理ソフトウェアを備え、大量の情報を並列処理し、安価なクラウド型サービスを提供している。

 同サービスを活用する企業は、ハードウェアやソフトウェアなどのIT資産を所有して情報システム部門と委託先のベンダーでシステムを開発、運用する必要がなくなる。利用形態に合わせて料金を支払えばよく、IT資産への一括投資をせずに、スケーラビリティ(拡張性)を確保できる。自社で運用しているオンプレミスのシステムと組み合わせて使うことで、コストとシステムの運用管理の負荷を軽減できる点がメリットだ。

クラウドとデータセンター

 クラウド型サービスは、インターネットを利用して大規模な分散処理を行うという過程からも分かるように、グローバル展開を前提としている。クラウドプロバイダーの競争力は、サービスの品質と安価なコストが生み出す。GoogleAmazonなどは、本社がある米国や世界中から選定した都市に、大規模なデータセンターを設置している。データセンターの設備投資は、クラウド型サービスの市場が形成される地域で今後も進むとみられる。

 クラウドサービスプロバイダーによって、各世界のデータセンターやデータの保存場所を開示しているかどうかは異なる。Googleは、電力消費を抑制した効率的なデータセンターの設置に意欲的に取り組んでいる1社だ。現地時間の4月1日に開催された「Efficient Data Center Summit」では、チラー(冷却装置)を使わないベルギーのデータセンターの存在を明らかにした。一方で、データセンターの設置場所などは開示しない方針である。Salesforce.comは、Force.comを提供するデータセンターの所在地が米国(所在地詳細は非公開)であると開示している

 データセンターの場所は、電力供給の安定性、ネットワークの品質、コスト、技術者のスキルなどで決まる。加えて、市場との地理的距離、政治・規制・税制・司法制度、社会システムと事業の親和性、信頼性なども検討の対象に挙がってくる。

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