クラウド企業連合、旗揚げの号砲ニュース解説 HPとMicrosoftが提携強化

HPとMicrosoftによる提携強化は、企業向けクラウド事業における勢力争いが、いよいよ本格的に始まった“号砲”といえそうだ。

» 2010年01月14日 16時22分 公開
[松岡功,ITmedia]

 米Hewlett-Packard(HP)と米Microsoftが1月13日、クラウドコンピューティングやデータ管理など企業向け分野での広範な提携を発表した(MicrosoftとHP、クラウドに関する2億5000万ドルの提携を発表)。

 両社は今回の提携強化によって、「システム基盤からアプリケーションまでを統合する次世代モデルをベースに構築」「アプリケーション展開の迅速化によるクラウドコンピューティングの推進」「既存システムの複雑さの解消やマニュアル作業の自動化で、IT全体のコスト削減」といった特徴を備えた新たなソリューションを共同で開発し、提供していくとしている。

 Microsoftのスティーブ・バルマーCEOは両社の提携強化について、「ハード、ソフト、サービスにわたる合意により、企業ユーザーは最低限のTCO(総保有コスト)で簡単にシステムを最適化できるようになる。今回の提携は、大手企業における顧客サービスの提供手法に変革をもたらすとともに、ITの採用を通じて自社ビジネスの成長を図ろうとする小規模企業の支援にもつながる。両社の目標は、相互信頼に基づく協力関係の下で、IT投資の投機的側面を解消できる仕組みを開発し、ユーザーに提供することだ」とコメントしている。

 今回の発表は、企業向けクラウド事業に向けて、両社が「企業連合」を本格的に旗揚げしたとも見て取れる。最大のライバルは米IBMであり、米Oracleと米Sun Microsystemsの連合とも競合することになるだろう。その意味では、企業向けクラウド事業における勢力争いが、いよいよ本格的に始まった“号砲”ともいえる。

 今回の発表で注目されるのは、「両社が協力関係にある3万2000社のチャネルパートナーの事業機会を拡大するため、パートナー企業向けのグローバルでの投資をこれまでの10倍に増やす方針」を打ち出していることだ。

 こうした両社の攻勢に対し、企業向けクラウド事業でメジャープレーヤーを目指しているベンダーはどう動くか。日本の大手ベンダーはどう対応するのか、大いに注目される。

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