ほかの企業のそれとは少し異なるCA Technologies社のクラウド事業戦略を、同社の買収方針を軸にオルタナティブ・ブロガー鈴木逸平氏が考察します。
(このコンテンツはオルタナティブ・ブログ「鈴木いっぺい の 北米IT事情: 雲の向こうに何が見えるか?」からの転載です。エントリーはこちら。)
CA Technologies社が自社のクラウド事業強化を目的に、新たな買収攻勢をかけ始めた。今度はArcot社というID管理技術を持つ、米カリフォルニア州Sunnyvale市に本社を置くベンダである。
Arcotは創業1989年、従業員は165人。銀行のオンラインバンキングサービスでのユーザー認証などの技術を開発していた。また、クレジットカード業界でも大きな実績をあげており、1日に100万枚のクレジットカードの認証を行っている、としている。
買収金額は、2億ドル(プレス発表記事)。
CA Technologiesにとって今回の案件は、クラウド事業関連買収の6件目に当たる。下記は今までに買収した会社と技術。
CA Technologiesは買収戦略発表当時に、10億ドルの投資を買収にかけると宣言しており、今回の買収でその金額にかなり近付いている。
セキュリティが最近のクラウド事業を強化するインフラとして市場の大きな関心を集めている、とさまざまな市場調査の結果として現れている。今回の買収は、その大きな要件であるクラウドサービスを利用するユーザーのID情報の管理に目を付けたものだ。
CA TechnologiesはIAMと呼ばれる自社のID管理技術とサービスを提供しており、今回の買収によって、ArcotはCA TechnolgiesのIAM戦略を推進するセキュリティグループと統合することになる。
CA Technologiesのクラウド戦略は、元の事業モデルである、エンタープライズの運用管理、いわゆるManaged Service Provider事業であり、その事業モデルに合致する技術を持つ会社を買収の対象にしてきた。また、運用管理に加えて、企業の従来のホスティングサービスに新たにクラウドを導入する際のコンサルテーションを提供するサービスも4Base社の買収などを通じて強化しており、他のIT企業とは少し異なる戦略でクラウド事業の市場を確保しようとしている状況が伺える。
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