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» 2010年12月24日 13時52分 UPDATE

Dell、医療向けクラウドアプリケーションのInSite Oneを買収

Dellが、世界最大規模の医療画像データベースを管理してしているクラウドアプリケーションサービス企業のInSite Oneを買収し、医療機関向けソリューションを強化する。

[Brian T. Horowitz,eWEEK]
eWEEK

 米Dellは12月22日(現地時間)、医療データアーカイブ用クラウドアプリケーションを開発する米InSite Oneを買収すると発表した。医師が医療画像を容易に共有できるようにするとともに、オンライン上で共同作業することで迅速に診断が行えるようにするのが狙いだという。

 契約条件は明らかにされていない。

 この買収により、InSiteのクラウド型製品「InDex Vendor-Neutral Enterprise Archive(VNA)」とDellの「Unified Clinical Archive」および「DX Object Storage Platform」が統合される。

 InDex VNAは、仮想化を利用して医療画像の保存作業を簡素化する。InSiteによると、同プラットフォームはDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)のIHE(Integrating the Healthcare Enterprise)標準のほか、HL7、XDS(Cross-enterprise Document Sharing)、XDS-i(Cross-enterprise Document Sharing for Imaging)の各標準をサポートするという。

 「EHR(電子医療記録)およびHIE(医療情報交換)用アプリケーションはInDexから画像を取り出すことができ、アプリケーションのリソースは一切使用しない」とInSiteは説明する。

 一方、DellのUnified Clinical Archiveでは、DICOMフォーマットを利用し、CTスキャン、心電図、マンモグラム、MRI、内視鏡検査などの画像の保存とアクセスが行える。

 InSite Oneのジム・シャンペインCEOは「医療ITサービス分野のリーディングプロバイダーであるDellは、InSite Oneがより多くの顧客にリーチし、医療業界における影響力を拡大する機会を与えてくれる」と発表文で述べている。

 Dellの医療・ライフサイエンス部門の副社長を務めるジェームズ・コフィン博士によると、医療データが異なるフォーマットでさまざまな場所に保存されていることが、医療の質の低下を招くとともに、医療データを保管する上で大きな障害になっているという。

 「急速に増え続けるこれらの膨大なデータの保管、検索および安全な共有という難問が、21世紀にふさわしい医療システムを構築する上で障害となっているのは確かだ」とコフィン氏はブログ記事に書いている。「現行のシステムでは、これらの医療画像を安全に保存・検索し、電子医療記録にシームレスに統合するというニーズに対応するのが難しくなるだろう」

 「10年から20年、あるいはさらに長期にわたって画像を保存することが法令や医療業界標準によって義務付けられるようになってきたため、医療機関にとってはデータの保存が大きな課題になるだろう」とコフィン氏は記している。

 コネティカット州ウォリングフォードに本社を置くInSite Oneは、360万枚以上の医療画像を収めた世界最大規模の画像データベースを管理している。同社のアーカイブには5500万件近くの臨床研究論文も含まれている。さらに同社は、約800カ所の医療サイトを運営している。

 米ESG(Enterprise Storage Group)は、北米では医療画像データが年35%以上のペースで増加し、2014年には260万T(テラ)バイト近くに達すると予想している。

 InSiteでは、あらゆる種類のPACS(Picture Archiving And Communications Systems:医療用画像管理システム)、データソースおよびモダリティ(医療用画像撮影手段)に対応可能なセキュアかつスケーラブルなクラウドインフラを保有している。

 InSiteのクラウドベースの高速インデックス化・共有プラットフォームを利用することにより、医師は画像のサイズと精度を容易に管理できるのに加え、画像配信のスピードアップを図ることができる。不完全な患者記録に対処することも可能になるという。

 Dellによると、同社とInSiteの統合データベースは、オープンで拡張可能な従量課金式ストレージプラットフォームとして提供される予定で、複雑な画像検索作業を簡素化するという。

 「病院は、医療データをクラウドに保存することで削減したコストを医療サービスの改善に生かすことができる」とDellは説明する。両社のデータベースはHIPAA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)にも準拠するとしている。

 「InSite Oneは、医療アーカイブ分野にクラウド技術を最初に導入した企業として、医療分野におけるDellの顧客が、医療データのアーカイビングと保管用のクラウドの経済性と拡張性を活用するのを支援するつもりだ」――Dellの医療・ライフサイエンス部門のバーク・スミス副社長は発表文でこう述べている。「クラウドは医療データのアーカイビングにとどまらず、情報交換に有効なツールにもなる。情報交換は医療改革の根本となる要素だ」とバーク氏は語る。

 医療業界では、医療データの保存にクラウド利用する企業が増えている。米IBMは10月1日、欧州の業界団体とともに「TClouds」プロジェクトを発表した。これは、ポルトガルのスマートエネルギーグリッド上およびイタリアのミラノにある家庭医療システムで医療クラウドの実証試験を行うというプロジェクトだ。

 一方、米VerizonのHealth Information Exchange部門は7月14日、米Oracleの医療情報交換プラットフォーム「Healthcare Transaction Base」を利用してクラウドに電子医療記録を保存する計画を発表した。

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