活躍の場をグローバルに NTTデータなど大手SIerの社長訓示

NTTデータやNRIなど主要SIer企業の入社式社長訓示をまとめた。

» 2011年04月01日 19時13分 公開
[伏見学,ITmedia]

 システムインテグレーター(SIer)業界では、ビジネスのグローバル展開が重要なテーマになっている。4月1日に行われた新入社員の入社式では、各社の社長からこの点が改めて強調された。


NTTデータ 山下徹社長

 NTTデータグループは国内において、国や自治体の行政情報システム、決済ネットワークなどの各種金融情報システム、あるいは地域経済の中核企業の情報システムなど社会のインフラとなるシステムを多数手がけております。このため、このたびの東北地方太平洋沖地震の発生にあたっても、地震発生直後から多くの社員が昼夜を問わず復旧作業に従事し被災システムの復旧やサービスの維持に全力を挙げて取り組んできました。

 その結果、いまだ十分ではありませんが、かなりのシステムが復旧し被災地の皆様のライフライン、生活インフラの確保に貢献をしています。また、わが社が開発をした自治体の防災情報システムや広域災害救急医療情報システムなども被災地の救援活動に大きな貢献をしています。

 では、このような社会的使命を果たすには、どのような能力が企業には必要でしょうか。最も重要なものは社員一人一人の力です。特に、私たちに求められているのは、ITの知識をはじめとした「専門能力」、人間に対する理解、思いやりをもって世の中をより良くしていこうという高い志を持つ「人間力」、どんな苦境にも屈せず、前向きに進んでいく「元気力」の3つの力です。

 NTTデータグループは日本を代表するITサービス企業であると同時に、「グローバルTOP5」を目指すグローバルIT企業でもあります。いまや、5万人いるNTTデータグループ社員のうち、2万人以上、約40%が海外の方です。世界中にいる私たちの仲間とともに手をたずさえ、切磋琢磨しながらグループ全体で成長を目指しているのが、NTTデータグループです。

 新入社員の皆さんがこれから活躍する場は日本に限らずグローバルです。そしてグローバルで求められるものも先ほど述べた「専門能力」「人間力」「元気力」の3つの力なのです。話す言葉や文化が異なっても、世界中どこにいっても求められるものは同じなのです。

伊藤忠テクノソリューションズ 奥田陽一社長

 このたびの震災に伴い、現在、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)グループでは、全力でお客様のシステムの復旧・安定稼働に努めています。保守サポートの特別サービス、データセンターでの各種無償サービスの提供、復興事業に関する無償ソフトウェア提供など、社員が一丸となって知恵を絞っています。全社で節電や募金にも積極的に取り組んでいます。

 この大震災がIT市場、ひいては日本の経済に与える影響を見通すことは現時点では大変難しく、当面は厳しい状況が続くものと予測しています。しかし、いつまでもこのような状況が続くとは思いません。時間はかかりますが、日本の経済は必ず復活すると固く信じています。これは、企業各社、私たち一人一人の努力の積み重ねで実現するものです。

 新入社員の皆さんには、成長するための変化に挑戦し、IT業界を牽引する人材になってほしいと考えています。まず、誰にも負けない強みを持つ人材、競争力のある人材になってください。2つ目は、幅広い見識を持ってほしいということです。常に勉強を続け、自分への投資を惜しまないでください。最後に、これからの3年間は基礎固めの期間としてとらえ、一所懸命に業務に取り組んでください。基礎固めは必ず役に立ちます。挫折しそうな場面に遭遇するかもしれません。決して途中で投げ出さずに、ぜひ、一人前のビジネスマン、ビジネスウーマンになってください。

野村総合研究所 嶋本正社長

 野村総合研究所(NRI)グループは、「未来創発」、英語では"Dream up the future."という使命を実現するために、2つの事業に取り組んでいます。

 1つは、調査・研究を通じた深い洞察に基づき、「社会やお客様の企業が歩むべき方向を示すこと」で、われわれはこれを「ナビゲーション」と呼んでいます。もう1つは、「ソリューション」で、「そのゴールに向けて、ITなどを有効活用し、実現可能な解を提供すること」です。

 現在、NRIは「Vision2015」という長期経営計画の下、「第三の創業」に向けて本格活動に入る時期にあります。

 「第一の創業」は、今からおよそ45年前、旧野村総合研究所と野村コンピュータシステムが産声をあげた時期です。「第二の創業」は1988年、野村総合研究所と野村コンピュータシステムが合併し、日本で初めて「コンサルとシステム」、つまり「Navigation & Solution」を提供できる会社が誕生したときです。

 そして、「第三の創業」期のいま、われわれは「いまを超える、自らを超える」をスローガンに、「ナビゲーションとソリューションを掛け合わせて、何か全くあたらしいものを創りだす会社に変わっていこう。私たち全員が自らの殻をやぶって会社を変えていこう」という強い意思を持って、「Vision2015」の実現に取り組んでいます。

新日鉄ソリューションズ 北川三雄社長

 3月11日に発生した史上空前の規模の東北関東大震災とそれに伴う津波で被災された多くの方々に心からお見舞い申し上げます。被災地の皆さんの頑張りはもとより、全国民が助け合い、支え合う支援の努力が続いています。今後、我々新日鉄ソリューションズとして、被災された方々の生活支援や被災地の復旧支援に向けて出来る限りの取り組みを行っていきます。

 新入社員の皆さんにお伝えしたいことが3つあります。第一は、社会に貢献するという事に誇りを持って仕事をしてほしいということです。今日、情報システムは、企業、産業の活動、そして人々の生活の中で、もはやなくてはならない最も重要な社会的インフラを形成しております。

 今回の震災のような緊急事態ではなおさら、その重要性や信頼性が認識されるわけですが、常に、経営環境の変化に対応してITをどのように導入して、どのように使っていくのか、このことはお客様の最も重要な経営課題です。

 新日鉄ソリューションズは、製造業や流通、テレコム、金融、社会公共、そしてITインフラなど幅広い産業分野において、お客様のコアビジネスに対して真に価値のあるソリューションを提供する努力を続けています。われわれの本来業務をしっかり完遂していくことが、今回の震災に対する産業社会の復興やさらなる発展に資することになります。

 2つ目は、自ら考え、大胆にチャレンジしてほしいということです。イノベーションが生まれるためには、現状プロセスの延長では解決できない新しい角度、新しい視点が必要です。

 3つ目は、世界に目を向けてほしいということです。現在、世界経済はいわゆる新興諸国の高い経済成長を中心に再び新しい成長のステージに向かおうとしています。他方、情報革命は飛躍的な進展を続けており、時間や地理、人種の制約を超えて、地球上のあらゆる場所で競争と共同作業が本格化する全く新しい時代となりました。

 皆さんが仕事をしていこうとするこれからのビジネス社会は、世界との連携・展開なくして存在しえない時代環境にあります。加速するグローバルな競争の中で皆さんが自分の仕事を通じて、絶えず世界の中の日本、そして、われわれの位置付けと将来の方向というものに強い関心を持ち続けてほしいと思います。

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