“第3のPureSystems”――日本IBM、ビッグデータ処理向け「PureData System」発売

日本IBMがデータ処理製品群「IBM PureData System」の3機種を発売した。同社が提唱する「エキスパート・インテグレーテッド・システム」構想に基づきハードウェアとソフトウェアを高度に統合したことで、ビッグデータの処理を高速化するという。

» 2012年10月10日 20時22分 公開
[本宮学,ITmedia]
photo IBM PureData System

 日本IBMは10月10日、同社が提唱する「エキスパート・インテグレーテッド・システム」構想に基づく「IBM PureSystems」シリーズの新製品として、データ処理製品群「IBM PureData System」を発売した。データベース(DB)製品やデータウェアハウス(DWH)製品など3機種をラインアップし、10月26日に出荷を開始する。

 エキスパート・インテグレーテッド・システムとは、ハードウェアとソフトウェアを統合してシステム全体のパフォーマンスを高めるというコンセプトだ。今回は同構想に基づき、DB製品の「IBM PureData System for Transaction」、DWH製品の「IBM PureData System for Analytics」、リアルタイム型DWH製品の「IBM PureData System for Operational Analytics」の3製品を新たに提供する。

 PureData System for Transactionは、eコマースのような大量のトランザクション処理に向けたDB製品だ。ハードウェア部分は今年4月に発表した「IBM PureFlex System」、ソフトウェア部分はIBM DB2をベースにしつつ、これらを仮想化技術を使わずに統合することで、高いパフォーマンスを実現したという。また、データを共同ストレージで管理することで、多数のユーザーからデータの登録や更新が行われた際も、データの整合性を確保するとしている。

photo 日本IBMのヴィヴェック・マハジャン専務執行役員 ソフトウェア事業担当

 新製品の特徴は、DBの設計や運用のシンプルさだ。「パターン」と呼ばれる各種パラメータのテンプレートを適用することで、数時間でデータをロードして使用準備を完了したり、設計したDBを数分で展開したりできる。また、1つのシステムで100以上のDBを運用できるほか、ファームウェアやOSのアップグレードに伴うダウンタイムも発生しない。

 パターンはまずIBM側で2種類用意し、今後は複数のパートナー企業がPureData向けに提供する予定だ。ユーザー自身も「長くても1日かからない程度」(日本IBMの塚本眞一 理事 ソフトウェア事業インフォメーション・マネジメント事業部長)の作業でパターンを作成でき、作成したパターンは専用サイトで公開することもできる。

 PureData System for Analyticsは、顧客分析のようなデータ分析・レポーティング用のDWH製品だ。この製品は、同社のDWHアプライアンス製品「Netezza」の上位版として位置づけられ、ソフトウェアとハードウェアを高度に統合したことで、従来のNetezzaシステムと比較してデータ処理スピードを10〜100倍ほど高速化したという。

 リアルタイムに発生する大量データ分析向けのPureData System for Operational Analyticsは、DWHアプライアンス「IBM Smart Analytics System」のリプレイス製品。例えば銀行やクレジットカード会社などの取り引きデータから、リアルタイムに不正を検出するといった用途に役立つとしている。

photo PureData Systemの概要

 今回発売するPureData Systemは、PureFlex Systemや「IBM PureApplication System」に次ぐ“第3のPureSystems”となる。日本IBMのヴィヴェック・マハジャン専務執行役員は「(PureSystemシリーズは)IBMがメインフレームなどの分野で50年近く蓄積してきた知見やノウハウを『パターン』化している。それが他社製品との最大の違いだ」と意気込んでいる。

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