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» 2013年03月01日 07時00分 UPDATE

IBM PartnerWorld Leadership Conference 2013 Report:クイズ番組を卒業? 今度は医学部に入学したIBM Watson

Powerに支えられたWatsonが今年から実用段階に入った。米国最大手の医療保険会社は、Watsonを医療の現場で活用し始めている。Smarter Planetでは、コンピューティングの活躍する領域は、もはや企業のバックオフィスにはとどまらない。

[浅井英二,ITmedia]
adkins01.jpg IBMのハードウェア部門を率いるロッド・アドキンス上級副社長

 米国時間の2月27日、ネバダ州ラスベガスで開催中の「IBM PartnerWorld Leadership Conference 2013」は2日目を迎え、朝のジェネラルセッションには同社でハードウェア部門を率いているロッド・アドキンス上級副社長が登場した。初日は「Smarter Planet」をはじめとする高付加価値ソリューションが話題の中心だったが、この日はハードウェアが主役となった。

 Smarter Planetのような、これまでない価値や経験を顧客に提供する一連のソリューション群にやや押され気味のサーバ事業だが、ITインフラストラクチャーとしてSmarter Planetを支える役割の重要さは、いささかも薄れていない。

 2年前、このPartnerWorldでお披露目された「IBM Watson」が良い例だろう。会期中に放送された米国の人気クイズ番組「Jeopardy!」でクイズ王を打ち負かして話題をさらったWatsonは、高さ4UのPower 750サーバ(32コア)を90台接続して組み上げられた。あらかじめ書籍100万冊相当のテキストを読み込んでおき、司会者の読み上げる問題を理解し、大量の情報の中から適切な回答を選択、素早く答えることができる。

 膨大、かつ多種多様なデータを統合して分析し、迅速で適切なアクションにつなげていくSmarter Planetでは、コンピューティングの活躍する領域は、もはや企業のバックオフィスにはとどまらない。昨年のPartnerWorldでは、着任したばかりのジニー・ロメッティCEOが「コンピューティングの新しい時代」(New Era of Computing)の到来を話したが、早くも今年、Watsonのような「Cognitive Computing」(認識するコンピューティング)が実用段階に入ろうとしている。

hennessy01.jpg IBMでパートナー事業を統括するマーク・ヘネシーGM

 「Watsonはクイズ番組を卒業し、今度は医学部に入学したようだ」と話すのはPartnerWorldのホスト役、パートナー事業担当のマーク・ヘネシーGMだ。

 米国最大手の医療保険会社、WellPointは、IBM Watsonのテクノロジーを医療の現場で既に活用し始めている。

 「WellPointでは、膨大な医学文献はもちろん、60万の臨床結果や、150万に上る癌・糖尿病・その他慢性疾患のカルテをWatsonに読み込ませ、医師が診断をより確かなものにしたり、最適な治療法を特定するのに役立てている」とヘネシー氏。

 今後は、金融や通信の非対面チャネル、例えば、コールセンターなどに応用を拡大していくほか、Social Business、Smarter Cities、Smarter Commerce、Smarter Care、Smarter Workforceといった成長が見込まれる高付加価値ソリューションとの融合も進められるという。

ビッグデータ分析が得意なPower

 ライバルベンダーたちが自前のプロセッサを放棄する中も、IBMは複数のアーキテクチャーに多額の研究開発費を投じてきた。Watsonをインフラとして支えるRISCベースのPowerプロセッサは、マルチコア化でその性能を高めている。最新のPower7+では最大クロック周波数が4.42GHz、コア数は8となっている。ちなみにIBMは昨年、ハードウェア部門だけで2555もの特許を取得しており、これはHewlett-PackardとOracleの合計よりも多い。

 昨年10月と今年2月の発表によってハイエンドモデルからエントリーモデルまでフルラインで一新されたPower7+搭載のPower Systemsファミリーは、まさにビッグデータのためにあつらえられたようなシステムだ。x86システムに比べ、ビジネスインテリジェンスのCognosでは40%、統計解析のSPSSでは20%も優れたパフォーマンスを叩き出すなど、新たなワークロードも効率良くこなす。

 アドキンスGMは、「Powerは、膨大なデータの扱いや分析に優れた性能を発揮する。より多くのメモリを積めるし、スケーラビリティーもある」と話す。

 初代のWatsonはラックが10本にも及び、システムとしては想像以上に大掛かりなものだったが、CPU、メモリ、ディスク、I/Oという各種コンポーネントがムーアの法則に従い進化しており、商用版のWatsonでは早くも性能が2.5倍に向上、一方、サイズは4分の1とかなり小さくなっているという。ラック1本に収まる日もそう遠くはなさそうだ。

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