ITRによると、クラウド市場ではIaaSやPaaSを中心に今後も拡大が見込まれるものの、ユーザー企業側では柔軟性や俊敏性といった利点を生かせていない様子が分かった。
調査会社のアイ・ティ・アール(ITR)は11月28日、クラウドコンピューティング市場を対象に実施した調査報告書「ITR Market View:クラウド・コンピューティング市場2013」と、これに付属する「ITR User View:クラウド・コンピューティング2013」を公開した。
Market ViewではSaaS、PaaS、IaaS、DaaS(仮想デスクトップサービス)を手掛ける国内ベンダー35社の市場動向を分析している。それによると、2012年度はPaaS/IaaSの市場規模が前年度比45.3%増の841億4000万円になることが分かった。2013年度は同39.0%増の1169億5000万円、2012〜2017年度に平均25.7%ペースで拡大し、2600億円を超えると予想している。
2012年度の市場規模は、SaaSでは同16.8%増の約443億円、DaaSでは同18.8%増の28億5000万円と、それぞれ拡大した。シニア・アナリストの甲元宏明氏は、「クラウドが当然の選択肢の一つになり、大企業では今後も活用が拡大していくだろう」とコメントしている。
User Viewではユーザー企業にパブリッククラウドの利点と課題などを尋ね、200件の有効回答を得た。それによると、利点としては「コストが低い」「自社で資産を持つ必要がない」を挙げる企業が多く、一方で「どこにいても利用できる」「必要に応じて拡張できる」「ビジネススピードが速くなる」といった柔軟性や俊敏性を挙げる企業は少なかった。
このことから、ITRではユーザー企業のクラウド活用の成熟度は低いと分析している。
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