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» 2014年01月10日 08時00分 公開

2014年 新春インタビュー特集:日本のワークスタイル変革をリードしたい――シスコシステムズ 平井社長

インターネットを介してあらゆるものがつながる「Internet of Everything(もしくはThings)」。2014年のIT業界ではその具現化の動きも大いに注目されるが、Internet of Everythingの概念をいち早く提唱したシスコは、どんな取り組みを目指すのか。平井社長に聞く。

[聞き手:國谷武史,ITmedia]

―― 2013年のビジネスはいかがでしたか。

平井社長 シスコシステムズ社長の平井康文氏

平井 シスコは、2012年から「Internet of Everything(IoE)」の概念を提唱しています。昨年はIoEが立ち上がり、社会に浸透していくという動きが現実のものになりました。似た表現に「Internet of Things」というものもありますが、IoEとはモノだけではなく、既にインターネットに接続されている人やデータ、プロセスなどあらゆるものが融合し、価値を生み出していくという考え方です。

 IoEが今後10年間にもたらす経済効果は、日本では76兆円に達すると予想しています。当社も昨年は、北海道ニセコ町における「冬季共同トライアルWi-Fi実証実験」や、西武ライオンズおよび西武ドームにおける「スタジアムWi-Fi」といった新たな体験を提供するプロジェクトに取り組みました。これからはソリューションとして、スマートシティやエネルギー、交通などあらゆる分野で本格的に普及していきます。

 またクラウド、モバイル、コラボレーションの3つの重要テーマに取り組みました。特にコラボレーションではビデオの活用が社会に広がり、当社も政府の産業競争力会議の民間議員に「テレプレゼンス」を提供しています。

―― 特に成功した点と苦戦した点について1つずつ挙げてください。

平井 成功した点は、4年前に参入した「Cisco Unified Computing System(UCS)」です。日本では2013年会見年度に前年度比2.5倍の成長を達成できました。ブレードサーバ市場で既に米国ではシェア2位、オーストラリアでは1位となっており、日本も後発ながらキャッチアップしていける体制になりました。

 Cisco UCSはコンピュータとネットワークの融合による価値提供を目指したものですが、参入当初は「なぜネットワーク機器のシスコはサーバに?」という懐疑的な見方が大勢でした。その価値が認められたのだと思います。特にソフトウェアがその原動力になっており、TCO削減や短時間でシステムを導入できる俊敏性などのメリットが実現しています。

 一方、苦戦という点ではシスコ社内の「Chairman's Choices Award Top Country」の受賞を逃したことですね。この賞は目覚ましい業績や優れたチームワークの現地法人に贈られるもので、日本は2年連続で受賞していました。2013年は3年連続の受賞を目指しましたが、成長著しいインドに贈られました。

 それでも日本のビジネスは順調に推移しており、かつての「ネットワーク機器会社」というイメージから「ビジネスに貢献するテクノロジーを提供する会社」というイメージに変化してきていると実感しています。

―― 2014年のビジネスではどのようなテーマに注力されますか。

平井 1つは昨年11月に発表した「アプリケーション・セントリック・インフラストラクチャ(ACI)」という次世代のアーキテクチャです。ITインフラの領域ではサーバ統合、仮想化という流れが来ましたが、その結果として運用管理コストが高騰しています。仮想化の世界にとどまっていては、俊敏性や効率性といったビジネス要件には応えられません。仮想化の先にあるのがACIであり、かつては全くの別物であったアプリケーションとネットワークを融合し、アプリケーションからネットワークをコントロールしていくというのがACIです。今年はACIを1つの標準としていくために、パートナーや競合とも手を結んでお客様に提案していきたいですね。

 もう1つは、日本のワークスタイル変革をリードすることです。政府の掲げる成長戦略では雇用制度の改革や人材力の強化が挙げられていますが、モバイルワークやテレワークといった働き方に代表される柔軟性、多様性に溢れたワークススタイルが注目されています。シスコでは社員同士が企業カルチャーや価値観を共有、共感している取り組みを含めて「いつでも、どこでも、だれとでも」コラボレーションができるワークスタイルを実践しており、日本の中でも先進的なスタイルだと思います。ぜひ当社のモデルをベンチマークにしていただきたいと思います。

―― こうした目標に組織として取り組んでいく中で、どのようなマネジメントを心がけていますか。

平井 今まで「野球型からサッカー型組織に変わるべき」と言ってきたのですが、今年は「オーケストラ型組織」を作りたいと考えています。野球は先攻・後攻というように組織の動き方が入れ替わりますが、サッカーでは11人の選手がダイナミックにフォーメーションを変えながら攻めたり守ったりしますよね。サッカー型を目指すというトップマネジメントの方が増えてきたので、私としては、さらに先を目指したい(笑)。サッカーでは選手が一度交代すると再出場できないですし、交代も3人までですが、ビジネスにそんな制約は無いわけです。

 私は学生時代から30年以上オーケストラに所属しています。実は、オーケストラで演奏者が持っている譜面は自分の担当するパートのものであり、全体としては指揮者のスコア(総譜)しかありません。同じスコアに基づいて演奏されますが、各人の役割はそれぞれ異なります。それでも全体としてハーモニーが生み出されていきます。このことは組織にも当てはまります。ハーモニーを生み出す組織とするには、アーキテクチャの刷新もコラボレーションの刷新も必要ですし、人財力を引き出せるカルチャーも必要です。

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