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» 2014年10月22日 10時00分 UPDATE

Computer Weekly:Windows Server 2003移行特需に笑うHP、苦境のIBM

Windows Server 2003のサポート終了により、サーバ市場に変動が起こると予想されている。ここで漁夫の利を得そうなのがHP。一方、IBMとDellはHPに後れを取る可能性がある。

[Archana Venkatraman,ITmedia]
Computer Weekly

 Windows Server 2003のサポート終了(EOL)まで、あと1年を切った。この機に社内インフラの刷新を検討し始めた企業を当て込んで、米HPは新たな法人契約の獲得に力を入れる堅実な策に出た。一方、ライバルの米IBMと米Dellは、将来の方向性が打ち出せずに苦境に陥っている。

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 Windows Server 2003とWindows Server 2003 R2は、2015年7月14日に延長サポートが終了する。Windows Server 2003はサーバの世界でWindows XPに相当する製品だ。今なお1100万台のサーバでこの製品が稼働しており、その多くは基幹業務をホストしていると専門家は見積もっている。

 米Microsoftの報告によれば、移行が必要なWindows Server 2003のライセンスは2200万件を超えるという。またHPの調査によると、サポート終了まで後1年足らずのこの時期になっても、顧客の60%はWindows Server 2003からの移行プランを立案すらしていない。

 「Windows Server 2003(のEOL)は当社にとっては非常に大きなビジネスチャンスだ」と話すのは、HPでヨーロッパ、中東、アフリカ地域(EMEA)のサーバ事業副責任者を務めるイアン・スティーブン氏だ。「Windows Server 2003のEOLは、転機の始まりにすぎない。これから企業のIT部門は、プラットフォームの移行に関する大きな決断に真剣に取り組まなければならない。今回は単なるOSのアップグレードではない。サーバ環境を一新することになるのだから」

 世界の大企業には、Windows Server 2003が稼働しているサーバが現在でも数万台はあるとスティーブン氏は見込んでいる。「Windows Server 2012への移行を計画していた企業もあるが、IBMのx86サーバを利用している企業からは、Windows Server 2012に移行すると将来の保守がどうなるのかなど、不確定要素が多すぎるという疑問の声が上がった」と同氏は語る。

 「IBMがx86サーバ事業を中国Lenovoに売却する話が実現していなければ、大企業はx86サーバの購入先を変更しようと考えることもなかっただろう。しかし、両社は既に合意に達した。これで当社に大きなチャンスが舞い込んできた」(スティーブン氏)

Lenovoのx86サーバ事業買収計画の承認

 2014年8月に米国政府当局は、LenovoがIBMのx86サーバ事業を230億ドルで買収する計画を承認した。この事業売却計画は現在、欧州委員会とカナダならびに中国当局による最終承認を待っているところだ(訳注)。

訳注:原文執筆当時。2014年9月29日に、IBMとLenovoは事業買収が10月1日に完了すると発表した。

 事業売却の発表当時、IBMのソフトウェアおよびシステム部門の上級副社長ならびに同部門の上層幹部を務めていたスティーブ・ミルズ氏は「サーバ事業の売却によって、IBMはコグニティブコンピューティング、ビッグデータ、クラウドなど、当社の事業の中で新たな価値を生み出す戦略的な分野であるシステムとソフトウェアのイノベーションへ集中できる」と語った。

 「企業が自社インフラの大規模なリプレースプロジェクトに取り組む際、サーバのサプライヤーの将来に不安があるというのは一番避けたい要因だ」と、オランダのクラウドサービスプロバイダー、Eshgroの最高責任者であるアントン・ルーフェン氏は説明する。「顧客企業のCIOの視点でプロバイダー各社の将来性を評価すると、IBMは(サーバ事業よりも)サービスとクラウドの企業としての路線を模索しているし、Dellはそもそも社内体制の立て直しで今はほぼ手いっぱいの印象がある。HPにとって、Windows Server 2003のEOLは収益を上げる絶好の機会だ」(ルーフェン氏)

 サーバ機の新たな契約の獲得を狙うHPは、単に安定性をアピールするだけではない。Microsoftとの綿密なコラボレーションを展開して、クラウド対応に加えてソフトウェアによるコンピューティングリソースの定義にも対応した、新しいx86サーバ製品を投入する。HPは2014年8月末にProLiant Generation 9 Serverを発表した。このモデルは米Intelが発売予定の新しいHaswellチップとDDR4メモリテクノロジーを採用していて、Windows Server 2003ベースのサーバ機をリプレースする層を対象としている。

 さらに同社はMicrosoftと連携したHP Microsoft Windows Server 2003プログラムを立案した。これはパートナー企業がMicrosoftの新しいOS、サーバ、ストレージ、ネットワーク環境に移行するのを支援するもので、HPは移行作業と料金支払いサービスのサポートを担当する。

 「大企業では、コンプライアンスが何よりも重視される」とHPのスティーブン氏は語る。「企業が社内サーバをリプレースする場合、IBMからLenovoへのサーバ事業売却はコンプライアンスの問題につながりかねないというリスクが判明している状況の中で、サーバ環境として2つのバージョンを配備することは考えられない」(スティーブン氏)

競合企業を出し抜くHP

 サーバ機のメーカーはHP、IBM、Lenovo、Dell、富士通などがあるが、その中でHPは一歩抜きんでている。米調査会社Gartnerの2014年第2四半期を対象とした調査結果によると、HPは前年比7.3%の売り上げの伸びを示し、同四半期の売上ベースの市場シェアは34.7%となった。

 一方IBMは、同四半期は売り上げが振るわず、市場シェアを14.9%まで落とした。

 HPの売上額が7.3%増となったのは、出荷台数ベースでは5.2%減であることと合わせて考えると、同社の競争力が伸びていることを示す結果だと、Gartnerのアナリスト エロール・ラシット氏は語る。さらに同氏は「EMEA市場では、ハイパースケールの需要がまだ北米市場ほど高まっていないが、HPはマルチノードのサーバ機の売り上げが好調だったことで収益が上がり、売上額を伸ばした」と付け加える。

 市場シェア第2位のIBMは、x86サーバ事業をLenovoに売却すると発表したにもかかわらず、x86サーバ機の売り上げについては数%ではあるが前年比で成長を記録した。ただしIBM全社の売り上げは、前四半期に続いて低調だった。これはメインフレームの売り上げが振るわず、RISCシステム事業の長びく不振からも脱却できなかったためだと、ラシット氏は分析する。

 一方、市場シェア第3位のDellは、売り上げについては最近の好調を維持している。2014年第2四半期の売り上げは、金額ベースで13.5%、出荷台数ベースで5.5%の伸びを示した。「Windows Server 2003のリプレースの分野では目下のところ、当社の最大の競争相手はDellだと考えている」とHPのスティーブン氏は語る。

 さらに、HPのIT戦略コンサルティング部門でグローバルの責任者を務めるモハメド・サフダ氏は、同社の公式ブログで次のように警告している。「Windows Server 2003のEOLに対して、企業ユーザーが事業経営の潜在的なリスクを最小限に抑えようとするならば、自社のデータセンターのプラットフォームについて、利用している製品とサービスのロードマップだけでなく、総合的な戦略自体の見直しに取り掛からなければならない時期に来ている」

 同時に同氏はIBM(将来はLenovo)のサーバ機のユーザーに対して、「IBM x86サーバを購入するという決定の再検討」と「今後の製品ロードマップを公開するようにIBMに要求する」ことの2点を実行するように強く勧めている。

 HPのCEOであるメグ・ホイットマン氏は2014年2月の時点で、IBMがLenovoにx86サーバ事業を売却することが決定したのはHPにとってはチャンスだと話していた。「大規模組織向けのサービスやサーバ事業で当社のシェアを拡大するチャンスが間近に迫っている。われわれは全力でこれに取り組む」とホイットマン氏は語る。

 HPは市場シェアを少なくとも5%伸ばすことを目標としている。有力な競合企業は社内体制の不安定さが業績に影響を及ぼしている状況にあるからだ。

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