ニトリの海外成長戦略を担う、「お、ねだん以上。」のクラウドサービスわずか3カ月でグローバルに最適化された環境に刷新(2/2 ページ)

» 2015年02月03日 12時42分 公開
[岩城俊介,ITmedia]
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効果と成果:ツールを統合し、社内の情報共有が極めてスムーズに

 「Share Point Onlineをどれだけ活用できるか」。ここを今回の刷新において特に重視した。ソフトバンク・テクノロジーは、Office 365の標準機能だけでは実現が難しかった情報共有におけるセキュリティの課題を、アクセス制御サービス「Online Service Gate」を組み合わせることで解決できると提案し、細かなトランスポートルールの設定や、海外も含めたグループ会社もサポートを可能にするサービス内容を提供した。「ソフトバンク・テクノロジーは、大企業への導入・運用の実績と、豊富なノウハウを持っていた。自社向けにカスタマイズしたきめ細やかな体制を敷いてくれたのがパートナー選定のポイントになった。導入・運用・その後の発展に至るまで、トータルサポートを期待できることを期待して選んだ」(ニトリ 東京本部業務システム室玉山久義氏/出典:ソフトバンク・テクノロジーWebサイト)

 プロジェクト開始からわずか3カ月、2013年8月中旬に第1段階としてニトリ本部および店舗や出向社員を含む全員へのExchange OnlineおよびLync Onlineの導入が完了した。

 「当初の予定では第1段階だけで4か月かける予定でいました。まずは本部のテストユーザーを移行させ、その検証の後に本部全体の導入を行い、最後に各店舗の切り替えに着手する予定でした。しかし、最終的には8月に本部も店舗も海外への出向者も全て一気に切り替えることができ、結果としてわずか3か月で無事完了しました。この成功の背景には、メールソフトとして必ずしもOutlookをPCにインストールせずとも、Webブラウザ経由のOutlook Web Appだけで十分に実用に耐えることが分かったこと、そして導入に助力してくれたパートナー企業の存在は大きいものでした」(ニトリ 情報システム改革室技術チーム 佐野智幸氏/出典:マイクロソフトWebサイト)。

 続いて3カ月間で、既存の社内ポータル、文書管理ソフト、店舗のオペレーションマニュアル共有のシステムなど「現場から本部へ改善提案を行うための仕組み」のSharePoint Onlineへの移行も完了させた。これまでの課題となっていた、個別に最適化した形での進行状況の把握、既存システムの海外展開、社内の改修要望への早い対応などの課題はほぼ解消。社内ナレッジ共有の施策をSharePoint Onlineで構築する第3段階、グローバルに広がるグループ全体での情報共有を意識した第4段階への作業もすでに着手している。

photo Office 365で刷新した社内情報基盤(出典:マイクロソフトWebサイト)

 特に、Share Point Onlineを活用した改善効果、そしてLync Online機能に、社内からの反響が大きかった。Lync Onlineの運用により、離れた拠点にいる同僚の在席情報確認やインスタントメッセージ、そして、Web会議の実施など、多様なコミュニケーション手段を使い分けて適切にコミュニケーションが取れるようになった。社内の情報共有が極めてスムーズになったという。

 社内ポータルの運用も、これまでのポータル機能である文書での配信のみから、動画やグラフ、アニメーションといったさまざまな表現を付加した、より密度の濃い情報も容易に共有できることで、従業員へ、より役立ち、活動しやすくする有益な情報を適切に提供できるようになった。他のシステムも情報システム部門の労力をかけずに移行や運用が実現。簡易的な機能は従業員自身で作成し、発信する運用も始まっている。

 コストメリットも明確に数値として効果が出ているという。Web会議システムや旧メールサーバの保守料金などの旧環境よりランニングコストが削減されたため、Office 365導入から3年間でコストが回収できる見込みが立った。今後、同じ仕組みを海外を含むグループ会社への水平展開も推進する。グループ会社との進ちょく管理、社外の協業ベンダーとの外部共有サイトなど、部門や会社の壁を越えて共有できる仕組みも活用することで、「情報の流れ」を変革していく計画のようだ。

 「第一に、情シス部門を日々の運用保守業務から解放し、将来を見据えた戦略的システム提案に全力を傾けられるようにしたこと。そしてシステム改修にユーザーの参加を促し、業務改善のスピードアップに寄与できること。当社の“ロマン”と“ビジョン”の追求を、こうした新しいテクノロジーによる成果を生かして今後ますます加速していきたい」(ニトリ 常務執行役員業務システム室室長の金平嘉宏氏/出典:マイクロソフトWebサイト)

効果

  • SharePoint Online、Lync Online 活用して、シームレスに情報を共有できるようになった
  • メールとスケジュール、会議室予約機能が連携しており、スケジュール調整の効率が大きく高まった
  • Lync Onlineを活用したWeb会議機能で、離れた拠点の社員とも、いつでも気軽に会議が可能になった
  • セキュアなモバイル環境も実現し、メールやスケジュールをリアルタイムで同期できるようになった
  • シングルサインオン機能で、すべてのシステム・ツールへスムーズにアクセスできるようになった

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