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» 2015年02月27日 13時00分 UPDATE

“ライオンズ”の球団改革を支えたIT――野球業界ならではのSFA活用法 (1/2)

観客動員は過去最低を記録、経営状態も赤字続きな上、プロ野球界の再編に伴う改革の波にも乗り遅れる――。そんな苦境から一転、観客動員数を伸ばし、黒字化を成功させた西武ライオンズ。そんな同社の営業チームを支えたITツールとは。

[後藤祥子,ITmedia]

 このままでは取り残される――。名門野球チーム、西武ライオンズがこんな危機感に襲われたのは2007年のことだった。その年、チームの観客動員は過去最低を記録。経営状態も赤字続きな上、プロ野球界の再編に伴う改革の波にも乗り遅れていた。

 翌年の2008年、西武グループはついに球団の改革に着手。グループ内で野球事業を再編し、上場を目指すことになった。

 それまで球団の運営は西武ライオンズ、試合の興行やスタジアムの管理は西武鉄道というように二分されていた経営体制を西武ライオンズに一本化。責任と権限を集中させ、すばやい意思決定ができる環境作りに乗り出した。

Photo 出典:サイボウズ

改革のポイントは“勝敗に左右されない事業環境”をつくること

 球団改革のキーワードとして掲げたのは「勝敗に左右されない事業環境づくり」。その理由は、“試合の勝ち負け”だけでファンの満足度を上げようとすると限界があるからだ。

 優勝チームですら勝率は6割前後というのがプロ野球の世界。ファンが10回観戦に来たとしても、4回は負ける計算だ。試合に負ければファンはおもしろくない。余暇の過ごし方が多様化している昨今、「ほかのことをやっていればよかった」と思われたら、リピーターを確保するのが難しくなる。

 ただでさえ少子高齢化の影響でファンが減少傾向にあるのに、“勝敗頼み”では事業の成長が見込めない。そこで戦略の軸に据えたのが、“ファンクラブの会員を増やし、その会員が球場に足を運びたくなる”サービスの提供だった。

“野球体験イベント”が当たり、観客動員数が急増

Photo さまざまなターゲットに向けた体験イベントを展開

 そんな西武ライオンズが今、力を入れているのが、試合終了後にファンが野球を体験できるイベントの開催。その1つが、女性限定の「やきゅ ウーマンナイト」だ。さっきまであこがれの選手が活躍していたフィールドで、野球を体験できるとあって評判は上々だという。

 ライオンズのOB選手が打ったノックを受けて投げ返す体験ができる、社会人限定の「サラリーマンナイト!」も人気が高い。ほかにもファミリーやシニアを対象としたイベントを開催するなど、負けた日でも来場者が「球場に来てよかった」と思える仕掛けづくりに注力した。

 こうした取り組みが功を奏し、2007年には109万人まで落ち込んだ観客動員が2011年には160万人規模まで回復。黒字への転換も果たした。

Photo 改革を契機に観客動員数が急増。2011年には黒字転換を果たした

観客増で球場の媒体価値が向上、営業の効率化が課題に

Photo エクセル時代の営業案件管理

 驚くのは、改革に着手したその年に観客動員数40万人増を達成したことだ。この快挙により、営業スタッフの動きが慌ただしくなってきた。観客動員が増えたことで、場内広告や(試合に企業の名前をつける)ゲームスポンサーの価値が上がったからだ。こうした背景から、2010年頃には法人営業にも力を入れ始めた。

 当初、営業案件の管理はエクセルを使いながら手探りでこなしていたが、次第に限界が見えてきたという。

 例えば、共通のエクセルワークシートを作成して営業スタッフに入力を頼んでも、入力する人としない人が出てきてしまったり、入力してくれても項目がバラバラだったりと、正確なデータが得られなかった。「そんな状況だったので、営業担当者が変わったときにも、情報を十分に引き継げる状況ではありませんでした」(西武ライオンズ 経営企画部の光岡宏明氏)

 さらに、スタッフそれぞれの営業状況が集約できていなかったため、“全体がどんな状況になっているか”が見えず、それが意思決定の遅れを招いていたという。

 「こうした課題を抱えて数年間やってきたのですが、限界に達したのでSFA(Sales Force Automation)を入れようという話になりました。2013年のことです」(同)

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