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» 2015年04月09日 22時35分 UPDATE

急げば間に合う、あと3カ月でも Windows Server 2003、スピード移行した企業のアドバイス

サポート終了まで、残すところ3カ月となったWindows Server 2003。“あと3カ月で間に合うのか”という情シスの不安を吹き飛ばすような事例が登場した。

[後藤祥子,ITmedia]
Photo インパクトのあるイラストでサポート終了を知らせるマイクロソフト

 7月15日のサポート終了まで、残すところ3カ月となったWindows Server 2003。“あと3カ月で間に合うのか”という情シスの不安を吹き飛ばすような事例が登場した。3カ月でWindows Server 2003からの移行を成功させただけでなく、“攻めのIT”につながるシステム改修までをやってのけた片倉チッカリンだ。

 大正9年に創業した片倉チッカリンは、有機複合肥料の生産販売を手がける老舗企業。企業名は、肥料の3要素であるチッソ、カリ、リンサンに由来。一般にはなじみが薄いが、農業分野では名が通っている。近年は、事業の多角化を進めており、新たに立ち上げた化粧品原料事業が好調に推移している。

 そんな同社がサーバの移行に乗り出したのは、基幹システムに使っていたオフィスコンピュータ(以下、オフコン)の販売が中止になったことと、Windows Server 2003のサポート終了がきっかけだった。

30年前、オフコン上に構築したシステムが使えなくなることに

Photo 片倉チッカリンの業務システム室で室長補佐を務める岸英幸氏

 片倉チッカリンが業務システムを導入したのは、約30年前。当時主流だったオフコン上で、COBOL言語で書かれた自社開発の販売、購買、精算、原価、会計用プログラムが走っていた。各モジュール間でのデータの連係も図るなど、かなり早い段階からERPを実現。2007年にはデータウェアハウス(DWH)を導入。基幹システムとつないでデータ分析を行うための仕組みを整えた。

 積極的なIT施策を行ってきた同社だが、情報システム部門では、「いつまでも“オフコン×COBOL”のシステムを使い続けられるものではない」ことも認識しており、2013年9月、基幹システムをオープン系のパッケージ製品に移行するプロジェクトがスタートした。

 当初はオフコンの基幹システムも、Windows Server 2003のDWHも同時に移行しようとしていたが、予想以上にマンパワーが必要だったためDWHの移行を断念。そのため、基幹システムの移行後は、DWHと基幹システムがつながっていない状態だった。

 オフコンに業務システムの一部が残っていたのも課題の1つだった。同社では、2007年にオフコン上で動いていた会計システムをオープン系のサービスに移行しているが、一部のサブシステムがオフコンに残っており、完全な脱オフコンに成功しているわけではなかったという。そんな中、オフコンの販売終了が決まったことから会計用サブシステムの完全移行の必要に迫られ、そこで浮上したのがパッケージを利用した帳票作成用サーバを1台立てるという対策だった。

 これと同時に対応を迫られたのが、基幹システムとつながっていないDWH対策。このサーバはOSにWindows Server 2003を採用しており、サポート終了が迫っていたのだ。

 同じ時期に1台の新たなサーバを立て、1台のサーバを移行しなければならなくなった同社が考えたのが「仮想化して1台の物理サーバに2台分を乗せてしまおう」という策だった。

Photo 移行前のシステム構成

 移行に伴って同社では、DWHの改修にも着手した。「使いたいデータを出すための集計項目がないので使えない」という声が社員から挙がっていたことから、すべての項目を見直し、その結果、項目数が10倍になったという。また、分析の適用範囲についても、従来の肥料事業のみから全事業に拡大するなど、移行をきっかけに“攻めのIT”に舵を切った。

不安視していたパフォーマンスは向上、運用面のメリットも

 移行にあたっては、Windows Server 2003上にHyper-VでDWHサーバと帳票作成サーバを立てた。

Photo 移行後のシステム構成

 同社にとって仮想化は初の試みだったため、処理速度など不安な面もあったという。特に基幹システムへの接続が図られたDWHは、項目と適用範囲が増えたことからデータ量が大幅に増えたため、パフォーマンスが不安視された。

 「もう一つ不安だったのは、DWHのエンジンの前にSQLサーバが立っていて、SQL上でデータの加工を行っている点。基幹系にない項目については、ここで新たな項目を生成し、追加しています。非常に負荷がかかるので、仮想化して大丈夫かという不安がありました」(片倉チッカリン業務システム室 室長補佐の岸英幸氏)

 しかし、テスト稼働したところ、データが増えたにもかかわらず、パフォーマンスは向上。問題ないことが分かったため、これまで夜間に1回、バッチ処理で行っていたデータ更新を業務時間中に3回行うように変更したところ、データの鮮度が上がり、よりリアルタイムな情報分析が可能になったという。

迅速な移行に向けたアドバイスは「全体を見ること」

 Windows Server 2003はサポート終了が3カ月後に迫っており、間に合うかどうか不安に思っている企業は多い。移行を3カ月でやり遂げた片倉チッカリンの情シス、岸氏は「細かいことにとらわれず、全体を見ることが大事」とアドバイスする。

 「移行完了までの全体のスケジュールを見て、“今、どこをやっているか”を考えることが重要です。細かいことにとらわれて、たいして上流じゃない問題点についてみんなで延々と話してしまうこともありますが、そこで踏みとどまって、『これは後回しにして、大事な部分を先にやろう』ということを互いに認識し、プロジェクトを進めるといいと思います」(岸氏)

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