準グランプリに輝いたアイデアは、加速度センサーを組み込んだメガホンなどの応援グッズで、球場のボルテージを検知し、最高潮の状態になると球場の一角からビールが降ってくるという「ベースビール」だ。
“リアルな場ではしゃぎたい”という若年層ならではのニーズに着目し、チームの優勝時などに行われる「ビールかけ」をモチーフに、球場でビールかけの気分を味わえることをコンセプトとしている。応援グッズを使った仕掛けにすることで、場の一体感を共有でき、野球のルールをあまり知らない人でも盛り上がりを楽しめるという。
ビールかけ気分を味わった後は、自分たちが楽しむ様子をSNSでシェアできる機能も用意。“楽しさあふれる写真をSNSでシェアしたい”という欲求も満たせる。ビールかけ専用の席を用意したり、ビールが降ってくる仕掛けづくりなど、実現までにはさまざまな障壁があるものの、若いファンが少なくなっているという問題に対し、ルールを知らない人でも盛り上がれる要素が入っていた点が評価された。
グランプリに輝いた「カブドラ」は、株式のように選手を指名して投資し、選手の成績(活躍度)によって付与されたポイントを、観戦チケットやグッズ購入に充てられるサービス。プロ野球の観戦や視聴に消極的だったノンコア層に対し、株というゲーム性を用いてWebとリアル(球場)両方の体験を提供するのが特徴だ。
株価は打点や出塁数、盗塁、得点(野手の場合)といった要素から算出され、試合が終わるごとに変化していく。各選手に投資する際には、参考としてパ・リーグ イノベーション APIを使い、過去のプレーを検索して確認できる。「選手を株に見立てる」という斬新な視点が評価された。
2軍好き(!)という野球ファンのメンバーが抱えていた「自分の応援している選手が活躍するとうれしいが、見返りがないのが残念」という不満から生まれたこのアイデア。一過性のものではなく、息の長い野球ファンが増えてほしいという。
ちなみにパッカソンの賞品は、好きな選手のサインが入ったパ・リーグ6球団のユニフォームや、“特別な体験付き”という野球観戦チケットなど。野球ファンにはたまらないアイテムの数々に会場は沸き上がった。
表彰式では、PLMの村山良雄社長が「パ・リーグのみならず、プロ野球界全体で活用できそうな提案をたくさん頂きました。私からの提案だが、優勝したチームの方々には、アドバイザーとして2カ月に1度くらいのペースで、実務的な関わりを続けていければと思っています。各球場に入れるパスも用意するつもりです」と宣言。ハッカソンで出たアイデアを実現する意欲を見せ、球界初の試みは大盛況のうちに幕を閉じた。
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