めちゃ高いプロマネ試験のハードルはアタマの中身より財布の中身!?女子ヘルプデスクのプロマネ修行奮戦記(2/3 ページ)

» 2015年07月24日 09時00分 公開
[鐙貴絵ITmedia]

 まず分かったのは、PMP資格試験を受けるための前提条件はそれなりにハードルが高いってこと。問題になりそうなのは、試験を受けるための勉強時間を35時間確保しなければならないところだ。これは「勉強しました!」っていう自己申告ではダメで、正式な証明書が必要になる。つまり、証明書を出せる機関が提供するe-Learningか研修を受けなければならないってわけ。どちらも一定の条件をクリアすることで「○○時間の学習をした」という証明書が発行される仕組みになっている。

 ありゃ。Aさんが私にe-Learningを受けるように勧めたのは、こういうウラがあったのね。あまり深く考えずにe-Learningを進めてきたけれど、どうやらそんなお気軽なものではないようだ。そういえば、受講証明書がどうのこうの、ということが書いてあったなぁ。あらためて私がやっているe-Learningコンテンツの但し書きを見てみると、章末問題と模擬試験でそれぞれ設定された目標の点数をクリアしなければ証明書がもらえない、と書いてあった。なんと……。

 そして試験を受けるためには、当然、受験申し込みが必要なんだけど、この申し込みの際にはプロジェクト経験を入力しなければならない。しかも英語で……。必要なプロジェクト経験は最終学歴によって違っていて、次のようになっている。

最終学歴 プロジェクト経験(日本支部事務局の資料より)
4年生大学以上の卒業者 最短3年間、4500時間のプロジェクト経験(リーダー、PMポジションで)
高校卒業、専門学校、高等高専卒業、短期大学卒業者 最短6年間、7500時間のプロジェクト経験(同上)

 さらに……どうやらランダムに「監査対象者」とやらに選ばれるみたいなのよね。不運にも(?)選ばれちゃった場合には、書類一式を揃えて、PMIに提出しなければならないのだ。しかも英語で……。

  • 上司によるプロジェクトマネジメント経験証明
  • プロジェクトマネジメントに関する35時間の受講証明
  • 大学またはそれに相当する学位証明(卒業証書)

PMI日本支部事務局の資料より

 おいおい、試験を受ける前のハードル、やたら高くないか? ひとまず整理してみよう。えーと、私が試験を受ける前に解決しておかなきゃいけないことは3つかな。

 1つは、受験料。今度はまじめに計算しよう。1ドル123円として計算すると……6万8265円?? 5万5千円じゃ済まないってこと?? さらに1万3000円アップですと!? しかも再受験すると、少し安くなるとはいえ、375ドルかかる。1ドル123円換算で4万6125円だ。この試験、3回落ちると1年間は試験を受けられないって書いてあるけど、3回受けると受験料は16万円オーバー。1回で受かることを目指さないと、とんでもないことになる。

 救済措置があるとすれば、PMIの会員になってしまうことだ。毎年139ドルの年会費が必要になるけど、会員は受験料が405ドルになるから都合11ドルお得になる。再受験料も275ドルだから、会員じゃない場合に比べると100ドル安い。べらぼうに安くなるってわけじゃないけど、入った方がよさそうだ。

 2つめは学習時間だ。今、受講しているe-Learningは、15時間分の受講証明書を発行してくれる。あと20時間をどうするかだ。別のe-Learningを申し込むか、集合研修を受けるか。これも当然、講座の受講料がかかる。試験を受けるためとはいえ、会社が受講料を出すことは、ない……うん。絶対、ない。

 最後が、私のプロジェクトの経験だ。私は大卒だから、4500時間のプロジェクト経験が必要で、これを事前に英語で申請しなければならない。でも、私はしがないヘルプデスク要員で、今までプロジェクトらしいプロジェクトなんて経験してきていないのよ……。ここに書けるプロジェクトの経験なんてものはほとんどない。しかも監査対象になったら英語で証明書を出さないといけないから、ウソは書けない。

 なんとまぁ、調べれば調べるほど受験する気持ちがなえる試験だわ。受けるためのハードル高すぎっ。

 ここで、「やめるぅー、試験は受けないぃーっ」て叫びたい気分になってくるけど、そう開き直ってしまうと、PMという立場で張り切ってお仕事していることにモチベーションが下がっちゃいそう。

 「プロジェクトを成功させたい」という思いや責任と、「試験を受けるか受けないか」ってのは本来、別物なんだけど、私の中では気持ちがつながっていて、試験を受けなかったらプロジェクトも成功しないような気になってしまっている。まるで、試験を受けることが、プロジェクトを成功させる一つの要因のようだ。

Photo

 うぅぅ……。難しい顔をしていたのか、また、猫が心配そうに私の顔をのぞき込んできた。目が合うと「なおぉ〜ん」と声をかけ、のどを鳴らしつつ甘えてきた。そうね。私は大丈夫だよ。大丈夫なふりをしているだけかもしれないけれど。ここで猫に2回も慰められるとはね……。

 さて、落ち込んでばかりもいられない。とりあえず、次の「プロジェクト品質マネジメント」をやっつけてしまおうか……。とはいえ、モチベーションはやや下がり気味。ひとまず、「プロジェクト品質マネジメント」の章全体をパラパラっと眺めてみる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ