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» 2015年10月19日 08時00分 UPDATE

半導体からカステラへ IT出身社長が挑んだ老舗“文明堂”のシステム統合 (1/3)

「カステラ一番、電話は二番」のキャッチコピーで知られる「文明堂」。老舗の菓子屋は、経営の効率化とブランドの再構築を目指した経営統合をどう進めたのか。IT企業出身の文明堂東京社長、大野進司氏に聞く。

[柴田克己,ITmedia]
Photo 文明堂の特選ハニーカステラ吟匠。職人が丹精込めて焼き上げる

 長崎のご当地菓子としてポピュラーなカステラ。中でも「文明堂のカステラ」は全国区で広く知られているブランドの1つだ。文明堂は、1900年に長崎市丸山町で中川安五郎が創業した菓子製造販売の老舗である。

 現在、九州から西日本だけでなく、東京を中心とした関東地区にも数多くの「文明堂」の店舗が存在している。その最初のきっかけは、創業者の実弟である宮崎甚左衛門が長崎の本店で身につけたカステラ作りのノウハウを持って東京に進出し、東京一号店(東京文明堂)を創立した1922年にまでさかのぼるという。

 途中、関東大震災や東京大空襲などによって何度か店舗を失う憂き目に遭うも、東京での事業を続け、「宮内省(現宮内庁)御用達」の座を獲得するに至った。さらに、有名な「カステラ一番、電話は二番」のコピーを使った宣伝活動などを積極的に展開。麻布、新宿、銀座など、東京の各地に「文明堂」を増やしていった。

 東京各地の文明堂各店舗も、「のれんわけ」のような形で、それぞれに別の企業体として独自に経営を行う状態が続いてきた。出店計画や商品展開も、それぞれの「文明堂」の経営判断によって決められていたという。

「のれん分けによる多店舗展開」が効率化の妨げに

Photo 文明堂東京の代表取締役社長を務める大野進司氏

 「『のれんわけ』による多店舗展開は、会社の拡大期には非常に有効な手段です。各社の努力によって、ブランドの知名度は大きく上がります。ただ、成熟期に入ってくると、そうしたメリットよりも、経営上の無駄や非効率さが目立つようになってきてしまいます。お客さまからすれば、同じ『文明堂』ブランドなのにも関わらず、同じショッピングフロアに、柱を挟んで経営会社の異なる2つの文明堂店舗が並んでいるといった状況も実際に起こっていたのです。経営を一本化することで、この状況を改善し、効率化を進めていこうという話は、私の入社以前からありました」

 こう話すのは、現在、文明堂東京の代表取締役社長を務める大野進司氏である。文明堂東京は、東京地区の文明堂で売上が大きかった「文明堂日本橋店」と「文明堂新宿店」の両社が2008年に設立した持株会社「文明堂東京ホールディングス」の元で、2010年に合併して生まれた新会社である。

 大野氏は、新宿文明堂の一人娘との結婚を機に同社の経営に関わることになるが、そこで最初に取り組むことになった大仕事が、日本橋、新宿両社の経営統合だった。実は文明堂入社以前、大野氏は国内の大手半導体メーカーに在籍しており、そこで経営統合に関わった経歴があった。

 「文明堂が、“実際の経営統合をどうやって進めていこうか”と考えていたタイミングで、実際に前職で経営統合に関わった私が入ることになったわけです。何か、運命のようなものを感じましたね(笑)」(大野氏)

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