日立がIoT向けソリューションを強化、車載・屋外対応のデータ転送サービス

日立がIoTシステム基盤の構築ソリューションを拡充。LTEを利用し、大容量のファイルを安定して高速転送できるサービスを開始した。電車や自動車といった車両や屋外における大容量データの収集、送信がより迅速にできるようになる。

» 2015年10月23日 07時00分 公開
[池田憲弘ITmedia]

 日立製作所は10月22日、M2MやIoT向けのシステム基盤を構築できる製品群「M2Mトラフィックソリューション」サービスの機能を拡充、LTE通信を利用し、大容量のファイルを高速に転送できる「大容量ファイル転送サービス」の販売を開始した。

 M2Mトラフィックソリューションは、ネットワーク技術を活用してインフラ事業者が持つ施設や設備の管理、予防保全業務の効率化を支援するソリューション。センサーやゲートウェイ装置、各種機器の制御などを一元的に実行するクラウド環境、そしてその設計や構築、運用保守、業務アプリケーション連携などを一元的に提供する。

photo 日立のM2Mトラフィックソリューション

 今回販売を開始した「大容量ファイル転送サービス」は、モバイルネットワーク通信(LTE)に対応したゲートウェイを使い、電車や自動車といった車両からでもデータを収集、クラウドへ送信できる。無線通信は外部環境の影響を受けやすく、電波状況が不安定になりがちだが、データ転送量を制御する高速ファイル転送技術「HITACHI WAN Optimizer」で安定した高速通信を実現した。

 このほか、高温多湿や振動などへの耐性を強化し、屋外での設置に向くゲートウェイもサービスに加えた。「遠隔地や屋外で撮影した画像や映像など、大容量ファイルのリアルタイムな収集、そしてデータ活用が可能になる」(日立製作所 情報・通信システム社 ITプラットフォーム事業本部 IoTビジネス推進統括本部 IoTシステム本部 担当本部長の桝川博史氏)という。

 同日、この技術を利用した、検診車向けの医用画像転送サービスをグループ会社の日立メディコが提供を開始している。X線撮影システムで撮影した医用画像を、検診車からクラウドへ自動転送し、健診施設で即座に利用できるシステムで、既に先行して利用している医療機関もあるという。

photo 検診車向けの医用画像転送サービス(出典:日立メディコ)

 桝川氏によると「これまで検診車は検診を終えた後、医療機関に戻りデータを受け渡していたが、このサービスを使えばその必要がなくなる。業務効率化が図れたほか、記憶媒体を使わなくなることでデータ紛失などのリスクが低減され、セキュリティも高まった」とのことで、今後は電力、鉄道、ガス・水道、製造業など、業種に合わせたソリューションを提供していくとしている。

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