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» 2015年12月21日 07時30分 UPDATE

即席!3分で分かるITトレンド:コレ1枚で分かる「ERPとERPシステムとERPパッケージの違い

今回は、ERPの3つのワード「ERP」「ERPシステム」「ERPパッケージ」について、それぞれの歴史的な背景を踏まえながら違いを説明します。

[斎藤昌義(ネットコマース株式会社),ITmedia]

この連載は

 カップめんを待つ間に、電車の待ち時間に、歯磨きしている間に“いまさら聞けない”ITトレンドが分かっちゃう! 今さら聞けないITの最新トレンドやビジネス戦略を、体系的に整理して分かりやすく解説する連載です。「この用語、案外、分かっているようで分かっていないかも」「IT用語を現場の社員にもっと分かりやすく説明できるようになりたい」――。情シスの皆さんのこんな課題を解決します。


“全体最適化”の手法とそれを支えるシステムとパッケージ

 「ERP」と「ERPシステム」と「ERPパッケージ」の違いをご存じでしょうか。よく似た言葉ですが、それぞれに意味が違います。歴史的な背景を踏まえながら、その違いを解説します。

ERP

 ERP(Enterprise Resource Planning)とは、企業経営の基本となる資源要素(ヒト・モノ・カネ・情報)を会社全体で一元的に把握し、それを適切に分配して有効活用する計画手法であり、その計画を重視する経営手法です。

 ERPという言葉は、製造業における資材所要量計画(MRP:Material Requirements Planning)といわれる生産資材を管理し、計画する手法から派生した言葉で、資材以外の人員・設備など、製造に必要なすべての資源を管理し、さらに会社全体の在庫・決済・資産の管理を行うように発展したのがERP(企業資源計画)です。情報システムそのものを意味する言葉ではありません。

ERPシステム

 ERP経営を実現するための情報システムです。ERP経営を実現するには、会社全体で業務の重複や無駄を排除し、部門個別に最適化された業務プロセスではなく、会社全体として最適な業務プロセスを実現する必要があります。そのためには、徹底した業務分析と業務プロセスの改革・標準化に取り組むまなくてはなりません。この取り組みは、BPR(Business Process Re-engineering)と呼ばれています。ERPシステムは、このBPRを実施した結果明確になる、全体最適化された業務プロセスを前提に構築される情報システムです。

ERPパッケージ

 企業規模が大きくなればなるほど、部門の利害はぶつかり、部門を越えた会社全体での最適化を目指すBPRは困難を極めます。加えて、ビジネス環境の変化は、業務プロセスを常に変化させ、全体最適の状態を維持するために業務プロセスの継続的見直しと最適化を行うこと(BPM:Business Process Management)は、容易ではありません。その変更に合わせてERPシステムに手を加え続けるとなると、手間もコストも膨大なものになってしまいます。そこで、登場したのか、ERPパッケージです。

 ERPパッケージは、ERP経営を支える理想的(ベストプラクティス)な業務プロセスをあらかじめパッケージ化した情報システムです。

 ERPパッケージには、ERP経営を実践する上で必要となる業務プロセスや、全社データを一元的に把握・管理するためのデータ構造のひな形が、業種や業務に応じたテンプレートとしてあらかじめ用意されています。このテンプレートを使い、業務の変革を進め、ERP経営の実現を加速しようというのです。

Photo

 本来であれば、ERPパッケージが提供するベストプラクティスに沿ってBPRを推進すれば、ERP経営が実現できるわけですが、すでに個別最適化された業務プロセスを持つ各業務部門がそれに合わせることは容易なことではありません。そんな現実を踏まえながら、最低限のテンプレートのカスタマイズおよび独自開発システムで対応できれば、ERPパッケージ導入の効果を享受することが可能となります。

 ERPパッケージを自社独自の基幹業務システムを開発するに当たり、最初から全てを作るのではなく、パッケージの機能を流用することで開発生産性を高めるための手段と捉えている企業もあります。しかし、それは、ERPパッケージ本来の目的でありません。「ERP経営実現を加速するための手段」と捉え、カスタマイズや追加の独自開発を極力少なくする取り組みを行わなければ、本来の価値を引き出すことができないということを理解しておく必要があります。

コレ1枚で分かる「ERPとERPシステムとERPパッケージの違い」

著者プロフィル:斎藤昌義

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 日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィルはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤリティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら


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