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» 2016年04月26日 14時00分 UPDATE

“Google Apps先生”は営業出身の新人情シス 社内浸透の立役者に (1/2)

せっかく導入したのに、スケジュールの活用だけにとどまってしまいがちなグループウェア。どうしたらもっといろいろな機能を使ってもらえるかと考えたオープンハウスの情シスが編み出した手法とは?

[御手洗大祐,ITmedia]
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 夢のマイホームを手に入れたい――。そんな夢を持つ人は多いが、地価も、人件費や資材といった建築コストも上昇傾向にある今、夢を実現させるのはなかなか難しい。

 理想の家を見つけるためには、価格や立地、間取り、周辺環境など、さまざまな情報を集めなければならず、条件に合う家を見つけられずにいる人も多いという。また、せっかく見つけても、他の人に先を越されてしまうこともあるようだ。

 そんな“いろいろと難しい”マイホーム探しの支援で知られるのが、総合不動産会社のオープンハウスだ。東京、神奈川の戸建を強みとして独自の地位を築いてきた同社は、早い時期からWebを使った集客を行うなどITの活用に力を入れてきた。しかし、社内のIT化まではなかなか手が回らず、対応が遅れていたという。

 よその会社より1分、1秒でも早く情報を得ることが勝敗を分ける不動産業界において、この状況を変えなければ今後の成長はない――。危機感を覚えた情シス部門が取り組んだIT変革はどのようなものだったのか。オープンハウス 情報システム部 クラウド推進グループの課長を務める鈴木貴臣氏、同係長の土屋俊輔氏、同主任の会見春香氏に聞いた。

Photo オープンハウス 情報システム部 クラウド推進グループの課長を務める鈴木貴臣氏、同係長の土屋俊輔氏、同主任の会見春香氏

“情報の速さが勝負”の不動産業でガラケー?

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―― モバイルやクラウドを積極的に活用していますが、どんなきっかけで導入を検討しはじめたのですか?

鈴木氏 私は2014年に入社したのですが、そのときに渡されたのが、なんとガラケーだったんです。当時、営業はガラケーでメールを確認して、顧客対応が必要な時には会社に戻って対応するなど、何かと非効率な動きが多かったんですね。不動産業はスピードが命。いかに物件情報をリアルタイムで把握できるかが重要なのに、その体制が整っていませんでした。

 にもかかわらず、情報システム部門が人手不足でなかなか動けなかったんです。さまざまな業務サービスのIT化やヘルプデスク業務に追われ、生産性向上のための施策やメール周りの対応に手が回らなかった。そんな状況で業務の効率化を考えたときに、「クラウド型のグループウェアを導入するしかない」と思ったわけです。

 クラウド型のグループウェアなら、自社でサーバを立てる必要はないですし、保守更新や故障時の対応などに手を掛けずに済みます。情シススタッフが少ないうちの会社としては、まさに“渡りに船”の状況で、それが「今後は、サーバを買わずにクラウドで行く」という大きな決断につながりました。

―― クラウド型のグループウェアとしてGoogle Appsを選んだ理由は?

鈴木氏 当社は、組織改編や組織拡大が頻繁に起こる動きの早い会社なので、変更のたびに設計をやり直さなければならないオンプレミス型のシステムやサービスは、ワークスタイルに合わないと思ったのです。

 検討を始めたときに、月額1200円/人でストレージ容量が無制限になるGoogle Apps Unlimitedがリリースされたのも大きかったです。「これしかない」と思いましたね。

―― 経営陣への提案から導入まではどのような形で進んだのでしょうか

鈴木氏 経営陣に対して、当時使っていたシステムとGoogle Apps Unlimitedを導入したときに掛かるコストの比較や、容量無制限のGoogle Drive for Workを導入するメリットを説明しました。

 例えば、運用管理の面ではファイルサーバの容量を追加するための検討をする必要がなくなる点、業務現場は容量を気にせず、図面や現場の写真をどんどんGoogle ドライブにアップロードし、社員やお客さまと共有できるようになる、といったことを話しました。

 加えて、Google Appsのパフォーマンスを最大限に生かすには、ガラケーからスマートフォンに変えた方がいいので、iPhoneの導入も併せて提案しましたね。

 経営陣に説明してから経営陣の判断が下りるまでには、さほど時間はかかりませんでした。それどころか経営陣から、「コストが下がって作業が効率化されて、売上アップにつながるのなら、なぜ、すぐ導入しないのか」といわれ、2カ月でGoogle AppsとiPhoneを導入する、という話になってしまったんです。

―― 社内展開は、どのような体制で進めたのですか

鈴木氏 Google AppsやiPhoneを社内へ浸透させるために、社員向けの教育はしっかりやりましたね。1回50人、2時間程度の講習会を全社員約700人に対して繰り返し実施しました。

 Google Appsの講習会は、実際にサービスを体験してもらう形で進めました。例えばGoogleドライブ上のファイルの同時共同編集を説明する時には、まず3人1組のグループを作って、スプレッドシートに好きなことを書いてもらい、続いて「このセルの内容は誰が書いたのか、変更履歴の確認の機能を使って探してみましょう」と説明する――といった格好です。体験を通じて、実際の業務に役立つシーンをイメージしてもらいました。

 講習が終わった後も情報システム部門の担当者が現場に行って、利活用をサポートしています。学生時代にGmailを使っていた社員でも、意外と知らない機能があったりするんです。Gmailの画面で、メールのプレビュー画面をサイドに出すとか。こうしたTipsは自作のマニュアルで伝えているのですが、現場に出向いて対面で伝えたほうが、浸透が早い気がしますね。

 現場のスタッフは、便利だと実感しなければサービスを使いませんから、そのための情報発信は労を惜しまず積極的にやっています。例えば、社内サーバに置いたデータは外出先から閲覧できませんが、「Googleドライブに保存すれば、場所を選ばず、どこからでも資料を閲覧できて便利ですよ」というように。このメリットを現場が理解してGoogleドライブを使うようになれば、容量に制限がある社内サーバの管理にデータが集中することもなくなり、管理がラクになるので一石二鳥ですね。

 最近は現場からの質問も増えてきているのですが、これはサービスを使おうという意思の現れだと思っています。

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