銅線によるデータの伝送には電気が使われます。銅線の上を頻繁にデータが移動すれば、それだけ電気の使用量が増えるのは先ほど触れたとおりです。また、銅線では高速にアクセスするために距離を短くする必要があります。例えば、皆さんのコンピュータの中を見ると、メモリはCPUのすぐ近くにあるはずです。
ネットワークのケーブルはどうでしょうか。10Gbなどの高いビットレートでは比較的長いケーブルに光ケーブルが使われています。銅線を光に替えることで、長距離でも同じエネルギーで信号を送ることができ、その距離も伸ばすことができるようになります。これが新世代アーキテクチャの2つめのキーポイントになります。ここには「フォトニクス」という技術が使われます。
このように記憶領域の階層化を排除して光で結べば、巨大な一層の消えない記憶領域を用意することができます。これは一度書いたら明示的に消すまでデータが失われなくなりますので、記憶を保つためにCPUを使える状態で維持している必要性がなくなります。
見方を変えると、現代のコンピュータはCPU中心のコンピューティングといえます。コンピュータはCPUに電源が入り、CPUが管理しているメモリにデータがロードされて、初めてデータを操作できるようになります。また他のCPUの配下にあるメモリ上のデータにアクセスしようとすると、必ずどこかのCPUを経由しなければなりません。
つまり、CPUが門番のような役割を果たしているわけです。このため、もしメモリを増設しようすれば同じ種類のCPUを接続する必要があり、サーバはそのCPUの制限に合わせて構成されることになります。
しかし一度書いたら消えない巨大なメモリ空間があれば、CPUにまつわる制約を変えることができます。この空間にはデータが既にあり、CPUの電源が入っていなくても既にメモリ上にあるのです。これを「メモリ主導型コンピューティング」と呼んでいます。
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