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» 2017年01月12日 08時00分 UPDATE

オープンソースのイノベーションをデータ分析にいち早く取り込む――Think Bigがテラデータにもたらす変化とは

日本テラデータが、オープンソースソフトウェアの扱いにたけたThink Bigと協力して新たなビッグデータアナリティクスサービスを提供する。それぞれに強みを持つ両社の融合で生まれてくるものとは。

[園部修,ITmedia]

 近年、エンタープライズITの分野では、オープンソースソフトウェア(OSS)が大きな役割を果たすようになった。大規模データから必要なデータを取り出し、精度の高い予測につなげるデータ活用の分野でも、「Hadoop」や「Spark」を筆頭にOSS抜きでは語れないほどだ。

 金融や製造、流通から通信などまで、幅広い業界にデータウェアハウス(DWH)を提供してきたTeradataのような企業にとっても、それは同じ。そこで同社は2014年9月、OSSを活用するビッグデータソリューションに特化したコンサルティングを行うThink Big Analytics社を買収した。2016年秋には、日本でもThink BigのOSSに特化したベンダーニュートラルなコンサルティングサービスを提供する。

 両社の連携はユーザー企業にどのようなメリットがあるのか。日本テラデータの代表取締役社長、吉川幸彦氏とThink Bigの共同創業者で社長のリック・ファネル(Rick Farnell)氏に聞いた。

Think Big 共同創業者 社長のリック・ファネル氏、Think Big Japan Managing Partnerのサンディパン・チャクラボルティ氏、日本テラデータ 代表取締役社長の吉川幸彦氏 Think Big 共同創業者 社長のリック・ファネル氏、Think Big Japan Managing Partnerのサンディパン・チャクラボルティ氏、日本テラデータ 代表取締役社長の吉川幸彦氏

「Think Big Velocity」でビッグデータコンサルティング

 Think Bigは、2010年に創業した、ビッグデータコンサルティングのパイオニアである。設立当初から、OSSを使って最新のアナリティクスソリューションを設計、構築してきた。すでに150以上成功事例をもつという。

Think Big Think Big

 「Think Bigの特徴は、独自のビッグデータフレームワーク、『Think Big Velocity』を用いて、ビッグデータを活用する包括的なコンサルティングを行えることです」とファネル氏は言う。

 Think Big Velocityを活用すれば、ビッグデータ分析の戦略立案からアーキテクチャ設計、OSSを含むベンダーニュートラルな分析プラットフォーム(データレイク)の構築や運用および評価、そしてデータサイエンティストのトレーニングまでを、迅速に実行できる。

 特にトレーニングについては、 最新のオープンソーステクノロジーを学べる、下記の4コースを用意しているほか、ビッグデータと分析システムの活用を組織に浸透させるためのトレーニングも提供する。

  1. Hortonworks、Cloudera、MapRなどのパートナー企業から提供されるコース
  2. Cassandra、R、Spark、Nifiなどに関するアカデミー・トピックスコース
  3. Hadoopエコシステムの基礎トレーニング
  4. カスタマイズ可能なブートキャンプ

 これにより、日本テラデータはクライアント企業に対して、新しいテクノロジーのデータサイエンスとデータテクノロジーを、サポートとともに提供できるようになる。

非構造化データやセンサーデータなどを効率的に取り込んで分析に生かす

 テラデータは、過去の知見から、さまざまな業界や目的に合わせた分析をするための「モデル」を多数保持しており、将来予測やリスク評価などの解析のために必要な新しいモデルも、迅速に構築できるとしている。同社の顧客は比較的大企業が多いが、Think Bigのリソースを活用し、アナリティクス・エコシステムを提案し、さらにイノベーションに富んだサービスを提供していく。

 「多くの企業は、業績を伸ばす際にコストカットに焦点を当てがちですが、成長のためにはそれだけでは不十分です。新しいサービスを提供したり、何かを創造したりするには、新たなデータを活用し、自信を持って新技術を採用することが必要です。市場の成長は非常に速く、日々新たなイノベーションが生まれていると言っても過言ではありません。新たな分野でリーダーになるべく、素早く動き続ける。そうした顧客と、今後も一緒に仕事をしていくために、Think Bigの能力は役立つと考えています」(吉川氏)

 テラデータがリレーショナル型データベス(RDB)の処理に強い一方、Think Bigが強みを持つOSSは、HadoopやSparkなど分散(並列)処理に強い。OSSでは、非構造化データも含むビッグデータを簡単に、コスト効果が高い形で格納して処理できる。例えば、天気や動画、会話、ジオロケーション(位置情報)、ウェアラブルデバイスなどから取得できるデータなども、構造化されたデータと組み合わせ、分析や予測に生かすことが容易になる。

HGSTが始めたデータ活用の取り組み

 ThinkBigによるコンサルティングは、日本ではローンチされたばかりのサービスではあるものの、グローバルではHGSTなどの企業ですでに取り入れられているという。HGSTは、Western Digital傘下のHDDメーカーで、旧日立グローバルストレージテクノロジーズや、旧IBMの流れをくむ企業だ。同社は、現在世界4カ国に5つの工場を持っているが、各工場で製造されるHDDの試験データが統合されていなかった。

 そこで、工場ごとの試験データを、OSSでクラウド上に構築したプラットフォームに統合し、品質の傾向を可視化した。すると、品質自体も向上し、顧客サービスも向上したという。部品や製品の品質担保だけでなく、製造工程の無駄を減らすのにも、さまざまなデータが役立つ。製品を出荷する前に、試験によって品質が確認できていれば、故障しやすい、あるいは故障する可能性が高い製品の特定も可能になる。

 今後はHDDが顧客の手元に届き、動き始めたときに、性能データがプラットフォームに送信されるような、新しいトレーサビリティの仕組みも作るという。メーカーの工場で製造されたあと、配送中のコンテナの温度に異常があり、品質が低下するなど、倉庫や物流網など、工場から出た後でも、品質に影響を及ぼす出来事は起きる。

 これを知るためには、配送業者のパートナーとともに新しいデータを取得してメーカーに渡し、そのデータをメーカーの分析モデルに統合する必要がある。また、動作中のデータが取れれば、パフォーマンスの低下や問題を事前に検知できるようになり、先手を打って新しい製品に交換するといったサービスやビジネスが生まれる可能性もあるのだ。

“今までなかったデータ”から生まれる新たなビジネス機会を支援

 アナリティクスを通して、「よりよい事業の結果」をもたらすことに今後も注力していくという日本テラデータ。Think Bigが持つOSSに関する知見とリソースは、「Best in Class(業界内でも最高レベル)」であり、それを組み合わせることで、対応できる分野やテーマが大きく広がり、新たなチャンスが生まれるとファネル氏は胸を張る。

 「今後も、新たなデータも利活用していくことは重要です。それによって、ビッグデータアナリティクスの新しい機会がもたらされるでしょう。日本市場には、これまでにもテクノロジーをいち早く活用する企業が多くありましたが、こうした分野のイノベーションをいち早く取り入れる市場として、大きなチャンスがあると考えています。イノベーションをリードする大手企業にサービスを提供していきたいですし、新しい市場において重要性を増してくる中小企業も支援していきたいと思います」(ファネル氏)

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