話題の「AI」を巡る最新事情エンプラニュースナナメ読み(1/3 ページ)

2016年末から2017年の初頭にかけて、「AI」が話題に上ることが多かった。1月2日からラスベガスで開催されたConsuer Electronics Show(CES)での注目ポイントや、最近の米国での動向などから、AIの今を知っておくなら押さえておきたいポイントを解説する。

» 2017年01月30日 12時00分 公開

年末年始のIT業界の話題をさらった「Alexa」とは

 昨今、IT業界では「AI(Artificial Intelligence:人工知能)」の話題が花盛りだ。ここで言う“AI”とは「人間の行動をアシストするコンピュータプログラム」のようなものだと考えてもらえばいいだろう。

 AIにテキスト入力による文章や音声で呼びかけると、適切な答えが返ってきたり、それに応じたアクションをAIがとることで機器の制御が可能となったりする。あるいは、事前に設定した条件に応じてAIが利用者に自発的に呼びかけてくることもある(○時までに家を出ないと本日の目的地に間に合わない、といった注意喚起など)。こうしたアシスタント型のAIサービスは、スマートフォンでの実装も進んでおり、Appleの「Siri」、Googleの「Google Assistant」、Microsoftの「Cortana」などが知られている。

 こうしたAIの中で、最近話題になったのがAmazon.comの「Alexa(アレクサ)」だ。Alexaは2015年に米国でデビューし、スピーカー型デバイスの「Amazon Echo(エコー)」とともに提供が開始された。Echoにはスマートフォンのような画面こそないものの、マイクとスピーカーが内蔵されており、利用者がEchoに呼びかけることでAlexaの機能を利用できる。

Amazon Echo Alexaが搭載されているAmazon Echo

 スケジュールやニュースのチェック、音楽再生、そして連動が可能な家電の制御など、Alexaでできることもさまざまだ。このAlexaの機能群は「Skill(スキル)」と呼ばれ、Amazon.comからSDK(ソフトウェア開発キット)が公開されており、サードパーティがストアを通じて一般公開できる。同社によれば、現在Alexaには4000近いSkillが提供されており、つまりそれだけ機能の拡張が可能なことを意味する。

 AWS(Amazon Web Services)で業界屈指のクラウド戦略を進めるAmazon.comだが、クラウド上に存在してさまざまな対応デバイスを通じて呼び出しが可能なAlexaは、Googleが「Google Home」というEcho類似型デバイスをリリースしたり、MicrosoftがCortanaを使って急ピッチでその戦略を追いかけているなど、「AI+クラウド」の台風の目のような存在となりつつある。

 Amazon.comは2016年末、同年のホリデーシーズン商戦におけるAmazon Echo型のデバイス製品の販売が、前年比9倍の伸びを見せたと報告して話題になった。まだ立ち上がったばかりの市場のため、9倍とはいっても利用者の総数はそこまで巨大なものではないと思われるが、Alexa対応デバイスの市場が急拡大しつつあることは想像に難くない。このトレンドを端的に示したのが今年1月初旬に米ネバダ州ラスベガスで開催された「CES 2017」で、LG Electronicsをはじめ複数の家電メーカーが、Amazon.comとの提携を発表し、自社スマート家電デバイスでのAlexa対応をアピールしていた。

 Alexaだけでなく、Google Assistantへの同時対応をうたうデバイスも存在しており、必ずしもAmazon.comがスマート家電の世界を支配したわけではない。ただ、CESにおける最新トレンドの中心にいたのは間違いなくAlexaであり、迷走しつつあったスマート家電のみならず、スマートフォンやPCの世界においても1つの方向性を示した意義は大きい。なお、このAlexaの米国での利用状況や最近のトレンドをまとめたBusiness Insiderの記事が面白いので、興味ある方はぜひチェックしてみてほしい。

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