AIで映像制作に「革命」が起きる――フジテレビとマイクロソフトが連携、その狙いは?(1/2 ページ)

AI分野でフジテレビと日本マイクロソフトが連携することを発表。フジテレビの動画投稿サイトに新機能を追加していくという。意外な組み合わせにも思える両社だが、3年前から協力しており、タッグを組む確固たるメリットを互いに感じているようだ。

» 2017年03月30日 09時00分 公開
[池田憲弘ITmedia]

 昨今、さまざまな産業分野で人工知能(AI)の活用が進んでいるが、放送業界にもAIの波が押し寄せている。従業員の負荷を減らし、コンテンツの海外展開をも容易にする――そんなAI活用を模索するため、フジテレビジョンと日本マイクロソフトが3月29日、動画視聴サービスを共同で開発することを発表した。

 同社の動画投稿サイト「DREAM FACTORY(ドリームファクトリー)」に、動画内の音声から字幕を自動生成する機能を2017年7月1日をめどに追加するという。字幕は英語、中国語、スペイン語、フランス語への自動翻訳にも対応し、外国人視聴者に対してコンテンツを訴求する狙いもある。

 このシステムは、Microsoft Azure上で稼働するAPI群「Cognitive Services」と「Media Analytics」を組み合わせた形で構成されており、投稿者は公開前に翻訳内容をチェックして、手動で書き換えることも可能だ。今後は対応言語を9カ国語に広げられるよう開発を進めるという。

photo フジテレビジョン 常務取締役の大多亮氏(左)と日本マイクロソフト 代表執行役 社長の平野拓也氏(右)

AIで映像制作現場に革命が起きる?

 フジテレビと日本マイクロソフトはもともと、2014年から連携して動画配信サービスを手掛けてきた。同社が運営するインターネット有料チャンネル「フジテレビONE/TWO/NEXTsmart」で配信プラットフォームとしてMicrosoft Azureを採用している。今回の取り組みもこの実績から生まれたものだと、フジテレビの大多亮氏は説明する。

 「報道という業界の特性上、サービスには安全性や信頼性がなくてはならない。マイクロソフトの力を借りることで、セーフティーかつグローバルに展開できるところが魅力的だと考えている。大量の映像を読み込むことでAIが進化し、映像の制作現場に革命が起きる予感がある。とてもいいアライアンスだと思っている」(大多氏)

photophoto Microsoft Azure上で稼働する「Media Analytics」(左)と「Cognitive Services」(右)

 フジテレビが導入を検討しているのは、字幕機能だけではない。顔認識技術によって動画内の出演者が出ている部分だけを視聴できるようにしたり、特定の人物に“ぼかし”を入れたり、動画のハイライトを短い動画にサマライズしたりといった機能などの導入も考えているそうだ。

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