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» 2017年05月22日 08時00分 UPDATE

ITによるビジネスの破壊と創造が始まる:Amazon Echoはなぜ、既存のビジネスを食い尽くすのか (1/3)

今、起こっているデジタル変革はこれまでと何が違うのか、その背景には何があり、これからどのような変化が起こっていくのか。その変化に私たちはどう対応すればいいのか――。斎藤氏の講演から読み解く。

[下玉利尚明,ITmedia]

 クラウド、モバイル、人工知能、IoT、VR……。ITは今、猛烈なスピードで進化しており、さまざまなトレンドが次から次へと現れている。そのスピード感は、“一昔は1年前、二昔前は3年前”といっても大げさではないほどだ。

 こうした流れは、これまでにない新たなサービスを生み出すと同時に、既存のビジネスモデルを破壊し始めている。その流れがとどまることはなく、いつ、私たちのビジネスに影響し始めてもおかしくない状況だ。こうした変化をピンチとみるか、チャンスと捉えるかで企業の進む道は大きく変わっていくだろう。

 今、起こっているデジタル変革はこれまでと何が違うのか、その背景には何があり、これからどのような変化が起こっていくのか。その変化に私たちはどう対応すればいいのか――。ITmedia エンタープライズ編集部が、企業の変革を目指す人々の疑問に答える勉強会「デジタル改革塾」を開催。講師のネットコマース 斎藤昌義氏がデジタル改革がもたらす未来について語った。

デジタルテクノロジーの進化が既存ビジネスの転換を迫る

Photo Amazon Echo

 勉強会の冒頭で斎藤氏は、音声認識ソフトAlexaを備えたBluetoothスピーカー「Amazon Echo」や、米シアトルにある「レジのないコンビニ」で知られる「Amazon Go」などを引き合いに、先進的なデジタルテクノロジーがどのように身の回りの暮らしを変えているかを説明した。

 Amazon Echoは、自然言語を使って日々のニーズに応えるAmazonのサービス。キッチンにこのスピーカーを置いて話しかけると、料理の作りかたを答えてくれたり、さまざまなサービスのハブとして機能したり、家電製品を操作したりといったことができる。

 斎藤氏は、Alexaに対応するサービスや家電製品が既に1万種類を超えていることに触れ、Amazon EchoとAlexaによるプラットフォームにPCやスマートフォン、家電製品がつながる近未来の暮らしがそう遠くないタイミングで訪れる可能性を示した。

 続けて同氏は、ITを駆使して“土木工事の自動化サービス”を提供している日本の重機メーカー、コマツの事例を取り上げ、重機免許を取ったばかりのコマツの女性社員が「3日間で道路を造る」挑戦を見事成功させた事例を紹介。これは、ドローンを使った測量や人工知能による計画立案を組み合わせることで、普段は事務を担当している女性社員でも、土木工事ができることを証明した先進的な取り組みだ。

 斎藤氏はコマツの担当者へのインタビューから、「(コマツが)ICTを駆使した土木工事の自動化はいずれどこかが着手すると認識していた」と説明。「それだったら『重機のトップメーカーとして当社が先頭に立つ』という気持ちで取り組んだと聞いている」と述べ、デジタルテクノロジーの進展が多くの企業に「既存ビジネスの枠を飛び越えた転換」を迫っている現状をつきつけた。

 斎藤氏はコマツの事例で重要なのは、「IoTを活用して何かをやろう考えて、それなら『土木工事の自動化サービスだ』と考えたのでは決してない」点だと指摘。まず、直面している事業課題があり、それをどう解決するかに悩み、「過去のやり方の延長線上ではなく、ITの可能性を信じて取り組んだことで常識を覆す取り組みができた」ことを強調した。

現実世界をデジタルに置き換えるIoT

 斎藤氏の言葉にあるように、常識を覆すためにはテクノロジーが必要だ。そこで、斎藤氏は、これまでITがどのように新たなビジネスを生み出してきたかを紹介。1990年代にインターネットが普及し、2004年にFacebook、2006年にTwitterがサービスを始め、2007年にiPhoneが登場したことで、「個人のインターネット接続が加速度的に広がった」と述べた。

 SNS、スマートフォンの普及で今後、世の中はどのように変わるのか。斎藤氏は「アクティビティのデジタル化が起こる。日常生活や社会活動などがことごとくデジタルデータに置き換えられ、ネット上を流通する。そんな仕掛けが社会に埋め込まれていこうとしている」と話す。

 例えば今、多くの人が使っているiPhone 6には12個のセンサーが組み込まれており、持ち歩くだけで日常のさまざまな行動がデジタルデータとして記録される。身体に密着しているウェアラブルデバイスも、さまざまなバイタルデータをデジタルで記録することが可能だ。

 「いろいろな場所に設置されているセンサーと組み合わせて、現実世界、つまり『フィジカルワールド』がデジタルデータにことごとく置き換えられ、リアルタイムでネット上に出現することになる。この仕組みこそがIoT」(斎藤氏)

 斎藤氏はさらに、現実世界のデジタルデータ化は「SNSでも起きている」と指摘。日々の行動を投稿することでデジタル化が加速され、「現実世界のデジタルコピーがネット上にどんどん蓄積されてビッグデータを形成する」と説明する。人工知能(AI)が注目されているのはIoTやSNSで膨大に集まったビッグデータを利用するためだというのが斎藤氏の見方だ。

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